育休中のふるさと納税|できる年とできない年の見分け方

育休中のふるさと納税を表すカレンダーと哺乳瓶

結論から書きます。育休中でもふるさと納税の申し込み自体はできますが、控除を受けられるかどうかは「育休かどうか」ではなく、その年の1月から12月に、課税される給与をいくら受け取ったか で決まります。同じ育休でも、育休に入った年・まるまる休んだ年・復帰した年で答えが変わります。この記事では、育児休業給付金が限度額の計算に入らない理由と、3つの年それぞれの結論、そして配偶者の名義で寄付する場合の考え方までを順番に整理します。制度の内容は2026年8月時点のものです。

目次

育休中でもふるさと納税はできるのか

ふるさと納税は自治体への寄付なので、働いていてもいなくても、育休中でも申し込むこと自体は誰でもできます。楽天ふるさと納税などのポータルサイトが職業や就業状況を確認することもありません。返礼品も普通に届きます。

問題はその先です。ふるさと納税でお得になるのは、寄付額から2,000円を引いた金額が所得税と翌年度の住民税から差し引かれるからで、差し引かれるべき税金がなければ、寄付した額はまるごと自己負担 になります。2万円寄付して1万円相当の返礼品が届いても、支払いは2万円のままです。

つまり「育休中にふるさと納税をすると損するのか」という問いへの答えは、その年に納める税金があるかどうか次第。ここを確かめずに年末の駆け込みで寄付してしまうのが、いちばんもったいないパターンです。

分かれ目はその年に課税される所得があるか

判断の軸はひとつだけです。寄付した年の1月1日から12月31日までに、所得税と住民税の対象になる収入があったか。育休に入った時期が何月かによって、この答えが変わります。

育児休業給付金は非課税で収入に入らない

育児休業給付金は雇用保険から支給されるもので、所得税も住民税もかかりません。雇用保険法で公租公課の対象にしないと定められているためです。同じように、健康保険から出る出産手当金と出産育児一時金も非課税です。

ここが混乱しやすいところで、給付金は毎月口座に振り込まれるので生活実感としては「収入」ですが、税金の世界では収入としてカウントされません。源泉徴収票にも載りません。したがって、限度額のシミュレーターに年収として入力してはいけない金額です。給付金を年収欄に足してしまうと、実際より大きな限度額が出てしまい、その差額はそのまま自己負担になります。

社会保険料も育休期間中は免除されます。手取りベースでは思ったほど減らない一方で、税金の計算上は収入ゼロの期間が続いている。この二重構造が、育休中のふるさと納税をややこしくしています。

育休に入った年は途中まで給与がある

一方で、年の途中から産休・育休に入った年は、それまで働いた月の給与と賞与があります。この分にはきちんと所得税と住民税がかかるので、その範囲でふるさと納税の控除も受けられます。

目安になるのは、その年の給与収入がおおむね100万円を超えているかどうか。住民税の所得割は、前年の合計所得金額が一定額(多くの自治体で45万円、給与収入なら約100万円)以下だと非課税になります。所得割がゼロなら、ふるさと納税の住民税分の控除もゼロです。

4月から産休に入ったなら1〜3月分、9月からなら8月分までの給与と賞与が計算のもとになります

年ごとに結論が変わることを表す木製ブロック

3つの年で結論が変わる

育休をまたぐ期間は、ふつう2年か3年にわたります。年ごとに整理すると次のようになります。

| その年の状況 | 課税される給与 | ふるさと納税 |
| — | — | — |
| 育休に入った年 | 休業前の分だけある | できる(限度額は小さめ) |
| まるまる育休だった年 | ない | 控除なし・全額自己負担 |
| 復帰した年 | 復帰後の分がある | できる(年末に実額で判断) |

育休に入った年

この年は迷わず「できる年」です。ただし限度額はいつもの年より小さくなります。1〜6月まで働いて年収の半分ほどだった場合、限度額も半分以下になると考えてください。所得が下がると適用される税率も下がるため、限度額は年収に比例するのではなく、年収以上の勢いで縮みます。

総務省が公開している目安の一覧では、独身または共働きの給与所得者で年収300万円なら28,000円、400万円なら42,000円です。育休に入った年の給与が200万円前後に収まるなら、1万円台から2万円前後が一つの目安 になります。ただしこれは社会保険料控除以外に控除がない場合の数字で、実際は後述する医療費控除などで変動します。

僕の場合、収入が読みにくい年は12月に入ってから寄付先を決めるようにしています。11月か12月の給与明細で、その年の課税支給額の累計がほぼ確定するからです。

まるまる育休だった年

1月から12月まで一度も出勤せず、収入が育児休業給付金だけだった年。この年は課税される所得がないので、ふるさと納税をしても控除は一切ありません。

この年に自分の名義で寄付すると、寄付額の全額が自己負担になります

ここで引っかかりやすいのが住民税です。育休1年目には前年に働いた分の住民税の納付書が届くので、「住民税を払っているのだから控除されるのでは」と考えたくなります。けれど、その住民税は前年の所得に対するもので、すでに金額が確定しています。今年寄付した分が差し引かれるのは翌年度の住民税 であり、そこに所得割がなければ引きようがありません。

返礼品が目的で、割高でも構わないという判断ならもちろん止めません。ただ、この年に限っては次に説明する配偶者名義を検討したほうが素直です。

復帰した年

復帰した年も「できる年」ですが、限度額は復帰した月からの給与で決まります。10月復帰なら実質3か月分。しかも時短勤務で月々の給与が下がっているケースが多く、フルタイムだった頃の年収で試算すると大きく外れます。

この年は、復帰後の月給に残りの月数を掛けて、賞与の見込みを足す。それが年収の見積もりです。年末近くの復帰で給与が数十万円にとどまるなら、住民税の所得割が発生しない可能性もあります。無理に駆け込まず、翌年にフルで寄付するほうが合理的です。

配偶者の名義で寄付する場合

まるまる育休の年に世帯としてふるさと納税をしたいなら、働いている配偶者の名義で寄付します。ポイントは3つあります。

ひとつめは、寄付の申し込み名義と支払うクレジットカードの名義を、控除を受ける本人でそろえること。ここがずれていると、寄付者本人が支払ったと認められず控除が受けられないおそれがあります。返礼品は同じ住所の家族が受け取って問題ありません。

ふたつめは、配偶者側の限度額が例年より増える可能性があること。こちらの給与収入が下がった年は、配偶者が配偶者控除または配偶者特別控除を受けられます。……と言いたいところですが、実際は逆で、配偶者控除が入ると配偶者の課税所得が減るぶん、その人の限度額はむしろ下がります。増えるどころか縮む。ここは間違えやすいので、配偶者の限度額も必ず今年の条件で計算し直してください。早見表の「夫婦」欄と「共働き」欄で金額が違うのは、この配偶者控除の有無によるものです。

みっつめが、出産した年の医療費控除です。

出産した年は確定申告になりやすい

出産費用は医療費控除の対象になります(出産育児一時金などで補填された分は差し引きます)。医療費控除を受けるには確定申告が必要で、確定申告をするとワンストップ特例の申請は無効になります。

ワンストップの申請書を送った後でも、確定申告をするなら寄付分をすべて申告書に記入し直してください。忘れると寄付の控除だけが消えます。

正直、この順番の入れ替わりは面倒でした。医療費控除を使う年は、はじめから確定申告でまとめる前提で寄付先を選んだほうが手間が少なくて済みます。5自治体という上限も気にしなくてよくなります。名義の考え方はふるさと納税は誰の名義で寄付する?家族間の名義と支払い方法の合わせ方で詳しく整理しています。

課税支給額の累計欄を確認する給与明細と電卓

自分の限度額を確かめる

育休をまたぐ年は、早見表の年収欄をそのまま当てはめても意味がありません。実額を拾って計算します。

materials は3つ。12月の給与明細に載っているその年の課税支給額の累計、賞与を含めた支給済みの金額、そして社会保険料の合計額です。給与明細の累計欄がいちばん確実で、源泉徴収票を待たずに済みます。

この数字をシミュレーターの年収欄に入れます。繰り返しになりますが、育児休業給付金・出産手当金・出産育児一時金は入れません。医療費控除を使う予定があるなら、その控除額も入力できる詳細版のシミュレーターを選んでください。使い方の手順はふるさと納税シミュレーターの使い方|どの数字をどこに入れるかにまとめました。

出た金額が数千円なら、自己負担2,000円を差し引いた実質的な得は小さくなります。限度額が5,000円を下回るようなら、その年は見送って翌年に回す のが僕の判断基準です。手続きの手間と釣り合いません。

まとめ|その年の給与があるかどうかで決まる

育休中のふるさと納税は、育休という状態ではなく、その年に課税される給与を受け取ったかどうかで結論が決まります。育休に入った年と復帰した年はできる年で、限度額は働いた月数に応じて小さくなる。まるまる育休だった年は控除がないので、寄付するなら働いている配偶者の名義にする。判断の材料は12月の給与明細に載っている課税支給額の累計です。

寄付の締め切りは12月31日、ワンストップ特例の申請書は翌年1月10日必着です。年末は自治体の処理も混み合うので、12月に入ったら限度額の確認から始めておくと落ち着いて選べます。

控除額や税額の判定は個々の家庭の事情で変わります。最終的な金額は各ポータルの詳細シミュレーターと、お住まいの自治体・税務署の案内で確認してください。

育休中に楽天ふるさと納税で寄付することはできますか?

申し込み自体は問題なくできます。ただし控除を受けられるかは別の話で、その年に課税される給与がなければ全額自己負担になります。ポイント還元は受けられるので、自己負担を承知のうえで返礼品を選ぶなら止めるものではありません。

育休明けで住民税が0円でもふるさと納税はできますか?

寄付はできますが、住民税の所得割がゼロの年は住民税からの控除も発生しません。復帰した年の給与が少なく所得税もかからないなら、その年の寄付は実質的に返礼品を定価で買う形になります。

育休中に受け取った手当金は限度額の年収に含まれますか?

含めません。育児休業給付金・出産手当金・出産育児一時金はいずれも非課税で、源泉徴収票にも載りません。シミュレーターには課税対象の給与と賞与だけを入力してください。

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