ふるさと納税の限度額はいつの年収で決まる?年をまたぐときの考え方

源泉徴収票とカレンダーを並べた限度額の確認イメージ

ふるさと納税を始めるとき、最初につまずくのが「限度額って、去年の年収で計算するの?それとも今年?」という点です。結論から言うと、限度額を決めるのは「寄付した年の1月1日〜12月31日の収入」で、前年の源泉徴収票はあくまで見込みを立てるための材料です。この記事では、なぜ前年の数字を使うのか、転職や育休で見込みがずれたときにどう考えるか、12月にまとめて寄付する場合の進めかたまでを順番に整理します。

目次

限度額を決めるのは寄付した年の収入

ふるさと納税は、寄付した金額のうち2,000円を超える部分が、所得税の還付と翌年度の住民税の減額というかたちで戻ってくる仕組みです。この控除の計算に使われるのは、寄付をした年の所得。たとえば2026年中に寄付をしたなら、2026年1月1日から12月31日までの収入と、その年の家族構成・社会保険料・各種控除をもとに上限が決まります。

戻ってくる住民税は翌年度(2027年度)に反映されるので、「翌年の住民税で戻るなら翌年の年収で決まるのでは」と勘違いしやすいところです。住民税は、前年の所得に対して翌年度に課税される後払いのような仕組みになっています。2026年の所得に対する住民税が2027年度に課税され、そこから寄付分が差し引かれる、という流れです。決めるのはあくまで寄付した年の収入で、翌年の収入がいくらになろうと限度額には影響しません。

寄付した年の収入で限度額が決まり、控除は翌年度の住民税に反映される

もうひとつ押さえておきたいのが、限度額は年収だけで決まるわけではないという点です。扶養している家族の人数、社会保険料、住宅ローン控除や医療費控除の有無によっても上下します。共働きか片働きかで数万円単位で変わることもあるので、「年収◯万円ならいくら」という早見表は目安として使い、最後は自分の条件を入れて確かめるのが確実です。

支払金額の欄を確認する源泉徴収票の紙面

前年の源泉徴収票を使うのはなぜか

限度額が寄付した年の収入で決まるなら、その年の収入が確定するのは12月の給与や賞与が出たあと、つまり年末です。ところが多くの人は、返礼品を選びながら春や夏から寄付を始めます。確定した数字を待っていたら、寄付できる期間は12月の数週間だけになってしまいます。

そこで実務的な落としどころとして使われるのが、前年の源泉徴収票です。会社員で仕事も家族構成も変わっていなければ、今年の収入は前年と大きくは変わりません。前年の「支払金額」「所得控除の額の合計額」「社会保険料等の金額」をシミュレーターに入れれば、今年の限度額の見込みとしてかなり近い数字が出ます。僕も毎年、この方法で夏のうちに枠の目安を出してから返礼品を選んでいます。

源泉徴収票で見るのは「支払金額」。手取りでも、課税所得でもありません

源泉徴収票のどこを見ればいいのか、項目ごとの読み方はふるさと納税の限度額を源泉徴収票から計算する方法で図解しています。手元に票がある方はあわせて確認してみてください。

大事なのは、前年の数字はあくまで「代用」だという意識を持っておくことです。前年ベースで出した金額が今年の上限そのものではないので、ぴったり使い切ろうとせず、少し余裕を残しておくと安全側に倒せます。

見込みと実際がずれるケース

前年の源泉徴収票が使えるのは、今年も前年と似た働き方をしている場合です。次のような年は、前年の数字をそのまま使うと限度額を読み違えます。

転職や退職があった年

年の途中で転職すると、空白期間の有無や新旧の給与差で、その年の総収入が前年から大きく動きます。年内に再就職していれば、前職の源泉徴収票を新しい勤務先に提出して年末調整でまとめて精算されるので、最終的な収入は合算です。転職先の年収が上がっても、無給の月があればその年の総額は前年より下がることもあります。

退職してその年は再就職しない場合はさらに注意が必要です。収入が数か月分しかなければ、限度額は前年ベースの見込みよりずっと小さくなります。所得税も住民税もほとんど発生しない水準まで収入が下がると、そもそも控除できる税金がなく、寄付が単なる自己負担になります。「全員が得をする制度」ではないのは、こうしたケースがあるからです。

年の途中で退職して収入が大きく減った年は、寄付前に必ず見込みを計算し直してください

賞与や残業が大きく変わった年

会社員で見込みがずれる一番の原因が、賞与と残業代です。業績連動で夏冬の賞与が上下したり、繁忙期の残業が前年と違ったりすると、年収は簡単に数十万円動きます。限度額は年収に対しておおむね比例して動くので、年収が数十万円下がれば上限も数千円単位で下がります。

逆に、昇進や資格手当で年収が上がった年は、前年ベースの見込みより枠が増えている可能性があります。ただし増えたぶんを先に使い切ってしまうと、想定より賞与が低かったときに超過します。上振れが見込めるときこそ、冬の賞与額が確定してから追加で寄付するほうが読み違いを防げます。

育休や休職が入った年

育児休業給付金や傷病手当金は非課税の給付なので、課税所得には入りません。つまり、育休や休職で給与の支給が止まっていた期間があると、その年の課税対象の収入はその分だけ小さくなります。年の前半で復職した年と、ほぼ丸一年休んでいた年とでは、限度額はまったく違う数字になります。

年の大半を育休で過ごし、給与の支給がほとんどなかった年は、そもそも課税される所得が少なく、控除できる余地も小さくなります。この場合は無理に自分名義で寄付せず、収入のある配偶者の名義で寄付するほうが枠を活かせます。ふるさと納税は寄付した本人の税金からしか控除されないため、名義を間違えると控除は受けられません。クレジットカードの名義と寄付の申込名義も揃えておきましょう。

12月のカレンダーとスマホで寄付を決済する場面

12月に寄付するときの考えかた

12月は、その年の収入がほぼ見えている一方で、期限が迫っている月でもあります。年内の寄付として扱われるかどうかは、決済が完了したタイミングで判断されます。クレジットカード決済ならカード会社の決済が完了した日、銀行振込やコンビニ払いなら払込日です。12月31日を1分でも過ぎると翌年分の寄付として扱われますので、大晦日ぎりぎりの申し込みは避けたいところです。

年末に寄付する場合の段取りは、次の順番で進めるとつまずきません。

STEP
12月の給与明細と冬の賞与額を確認する

その年の収入がほぼ確定します。前年の源泉徴収票ではなく、この実額をもとに計算し直します。

STEP
公式シミュレーターに今年の数字を入れる

総務省のサイトや各ポータルのシミュレーターに、収入・家族構成・社会保険料・住宅ローン控除などを入力して上限の目安を出します。

STEP
上限の8〜9割を目安に寄付額を決める

年末調整後の細かな差や入力漏れを吸収する余裕分を残します。

STEP
年内に決済を完了させる

カードの決済エラーや在庫切れで再手続きになる可能性を見て、数日の余裕をとります。

STEP
ワンストップ特例の要否を決める

寄付先が5自治体以内で確定申告が不要な人は、申請書を翌年1月10日必着で各自治体へ送ります。間に合わなければ確定申告に切り替えれば控除は受けられます。

駆け込みで寄付する際の在庫や配送、申請書の扱いについてはふるさと納税を12月に駆け込みでやる手順で詳しくまとめています。

正直、12月の申し込みは焦ります。僕も一度、人気の返礼品が売り切れて別の自治体を探し直すはめになりました。返礼品にこだわりがあるなら、枠の半分くらいは秋のうちに使っておくと年末が楽です。

見込みが立たないときの進めかた

独立したばかりの個人事業主、歩合の比率が高い仕事、転職や休職が重なった年など、そもそも年収の見込みが立てにくい状況もあります。この場合の考え方はシンプルで、確実に超えない金額から始めて、確定してから足すという二段構えにします。

たとえば見込みに幅があるなら、想定できる範囲のいちばん低い年収でシミュレーションし、その上限のさらに7割程度を上半期に寄付します。残りは11〜12月に収入が固まってから追加する。ふるさと納税は寄付回数に制限がないので、分割しても損はありません。自己負担2,000円は年間の合計に対して一度きりなので、寄付先を分けても負担が増えることはありません。

【上限を超えたらどうなるか】

超えた分は控除の対象にならず、そのまま自己負担になります。返礼品は受け取れるので完全な損とは限りませんが、返礼品の調達費は寄付額の3割以内と定められているため、超過分は割高な買い物になります。

個人事業主の場合、限度額の計算に使うのは売上ではなく、経費を差し引いた所得です。売上ベースで計算すると大幅に上振れするので、確定申告の準備を進めながら所得の見込みを出すことになります。年内に所得が固まりにくい業種なら、なおさら少額からの分割が向いています。

そして、次のような場合は無理に寄付しないという判断も必要です。住宅ローン控除や医療費控除で納める税金がすでに大きく減っている年、収入が少なく所得税・住民税がほとんど発生しない年、年の途中で退職して以降の収入がない年。こうした年は控除できる枠自体が小さく、寄付しても戻る金額が限られます。

まとめ|その年の収入で決まると覚えておく

ふるさと納税の限度額は、寄付した年の1月1日から12月31日までの収入で決まります。前年の源泉徴収票を使うのは、その年の収入が確定する前に見込みを立てるための便法であって、前年の年収そのもので決まるわけではありません。この一点さえ押さえておけば、年をまたぐときの疑問はだいたい解けます。

転職・退職・賞与の変動・育休といった、前年と働き方が変わる年は、前年の数字をそのまま使わずに計算し直す。見込みが立たない年は低めに見積もって始め、年末に足す。この二つを守れば、上限を大きく超えて自己負担を増やす失敗はほぼ防げます。

なお、この記事の内容は2026年8月時点の制度にもとづく一般的な説明です。控除額は収入以外の要素でも変わるため、自分の金額は総務省のふるさと納税ポータルサイトや各ふるさと納税サイトのシミュレーターで確認し、判断に迷う点は住所地の市区町村の税務担当窓口にご確認ください。

今年の1月に寄付しました。限度額は去年の年収で見ればいいですか?

いいえ、今年の収入で決まります。1月時点では今年の収入が分からないので、去年の源泉徴収票を使って見込みを出すこと自体は問題ありません。ただし今年の収入が下がりそうなら、見込みより少なめに寄付しておくほうが安全です。

12月31日に寄付したら、翌年の住民税から引かれますか?

12月31日中に決済が完了していれば、その年の寄付として扱われ、翌年度の住民税から控除されます。年をまたいで1月1日の決済になった場合は、翌年分の寄付になります。

産休・育休中でも寄付できますか?

寄付自体はできますが、育児休業給付金は非課税なので限度額の計算には入りません。給与の支給がほとんどなかった年は控除できる税額が小さく、自己負担が増えやすくなります。収入のある配偶者名義で寄付するほうが枠を活かせます。

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