結論から言います。ふるさと納税の限度額を出すために源泉徴収票で見るのは、「支払金額」と「社会保険料等の金額」の2か所です。それ以外の欄は、詳細なシミュレーションをしないかぎり使いません。この記事では、その2か所がどこにあるのか、なぜ「給与所得控除後の金額」を使ってはいけないのか、いつの年の源泉徴収票を使えばいいのかを、順番に整理します。手元に源泉徴収票がない場合の代わりの出し方まで書きました。

見るのは2か所|支払金額と社会保険料等の金額
源泉徴収票は横長の紙で、上段に氏名や住所、その下に金額の欄が横一列に並んでいます。金額欄の並び順は左から「支払金額」「給与所得控除後の金額」「所得控除の額の合計額」「源泉徴収税額」で、その下の段に「社会保険料等の金額」があります。
ふるさと納税の限度額で使うのは、この一番左の支払金額と、下段の社会保険料等の金額です。僕は毎年12月に源泉徴収票をもらったら、この2つだけスマホで撮って、シミュレーターに入れています。
| 欄の名前 | 意味 | 限度額計算での扱い |
|---|---|---|
| 支払金額 | 1年間の給与・賞与の合計(額面) | 「年収」として使う |
| 給与所得控除後の金額 | 支払金額から給与所得控除を引いた額 | 年収欄に入れない |
| 所得控除の額の合計額 | 社会保険料・基礎控除などの合計 | 詳細計算のとき使う場合あり |
| 源泉徴収税額 | 1年間に納めた所得税 | 限度額計算では使わない |
| 社会保険料等の金額 | 健康保険・厚生年金・雇用保険などの天引き合計 | 詳細シミュレーションで使う |
支払金額が年収にあたる
シミュレーターに「給与収入」「年収」と書かれた入力欄があったら、そこに入れるのは支払金額です。社会保険料や所得税が引かれる前の、いわゆる額面の合計で、毎月の給与だけでなく賞与も含まれています。手取りの合計ではありません。
注意点が2つあります。ひとつは、通勤手当のうち非課税になる分は支払金額に含まれないこと。定期代が給与明細に載っていても、支払金額はその分だけ少なくなります。もうひとつは、年の途中で転職した場合です。前職の給与が現職の源泉徴収票に合算されていないことがあり、その場合は2枚の支払金額を足した額が本当の年収になります。転職した年は、前職の源泉徴収票を必ず探してください。
給与所得控除後の金額との違い
間違いが一番多いのがここです。「給与所得控除後の金額」は、支払金額から給与所得控除(会社員の必要経費にあたる控除)を引いたあとの、給与所得の額です。数字が並んでいるので年収と勘違いしやすいのですが、これを年収欄に入れると限度額が実際より低く表示されます。損はしませんが、寄付できたはずの枠を余らせることになります。
逆のパターンもあります。年末調整をしていない人(12月時点で在籍していない、副業などで自分で確定申告する)の源泉徴収票は、給与所得控除後の金額と所得控除の額の合計額が空欄になっていることがあります。空欄でも支払金額と社会保険料等の金額は記載されているので、限度額の目安を出すには困りません。
年収欄に入れるのは一番左の「支払金額」。「給与所得控除後の金額」ではありません。
社会保険料等の金額を使う場面
年収と家族構成だけを入れる簡易シミュレーターなら、社会保険料等の金額は不要です。ただし簡易版は社会保険料を年収の一定割合と仮定して計算しているため、実際の負担と差が出ます。より実額に近づけたいときに、この欄を使う詳細シミュレーターへ進みます。
社会保険料等の金額に入っているのは、健康保険・介護保険・厚生年金・雇用保険など、給与から天引きされた保険料の合計です。ひとつ気をつけたいのが内書き。この欄の上段に小さく数字が書かれている場合、それは給与天引きにしているiDeCo(小規模企業共済等掛金)の額で、下の合計額のうちの内数です。内書きの数字を合計に足してはいけません。

手順 源泉徴収票から限度額の目安を出す
2か所の数字が読めたら、あとはシミュレーターに入れるだけです。僕がやっている流れをそのまま書きます。
一番左の欄の数字をメモします。転職した年は前職分と合算します。
下段の欄の数字をメモします。上段に内書きがあれば、それは足しません。
楽天ふるさと納税、ふるさとチョイス、さとふるなど、どのポータルにも用意されています。「簡易」ではなく「詳細」「本格」と書かれたほうを選びます。
配偶者の有無、扶養している親族の人数と年齢を入れます。共働きで配偶者に一定以上の収入がある場合、税の上では「配偶者なし」の扱いになります。
医療費控除、住宅ローン控除、iDeCoの掛金など、申告する控除があれば入力します。これらがあると限度額は下がります。
表示されるのはあくまで目安です。僕は出た額の9割くらいを寄付の上限として使っています。
限度額そのものの計算式や年収別の早見表は、ふるさと納税の限度額の計算方法の記事にまとめています。仕組みから理解したい方はそちらを先に読んでください。
住宅ローン控除や医療費控除を受ける年は、そもそも納める税金が少なくなるぶん、ふるさと納税の限度額も下がります。特に住宅ローン控除で所得税・住民税がほぼゼロになっている場合、ふるさと納税をしても控除しきれず、実質的に自己負担が2,000円で済まないことがあります。この場合は無理に寄付枠を使い切らない選択もあります。
いつの源泉徴収票を使うのか
ふるさと納税の限度額は、寄付をした年の1月〜12月の所得で決まります。2026年に寄付をするなら、基準になるのは2026年分の所得です。
ところが2026年分の源泉徴収票が手に入るのは、早くても2026年12月の給与明細と一緒か、翌1月です。寄付をする時点では確定していません。そこで多くの人は、直近に受け取った前年分(2025年分)の源泉徴収票を目安として使います。収入が前年と大きく変わっていなければ、これでおおむね足ります。
問題は、収入が変わる年です。昇給や残業の増減はまだしも、転職・退職・育休・時短勤務などで年収が下がった年に前年分の数字を使うと、限度額を過大に見積もって自己負担が2,000円を超えます。逆に収入が増えた年は、枠を余らせます。前年と条件が変わった年は、直近の給与明細から今年の見込み額を出して入力してください。
いつの年収で計算するかは迷いやすいところなので、ふるさと納税の限度額はいつの年収で決まるかで場合分けして解説しています。
12月に源泉徴収票が届いたら、その数字で最終確認して、残った枠を年内に寄付し切るのが一番確実です。
手元にないときの代わり
源泉徴収票が見当たらない、まだ発行されていない。この場合でもふるさと納税はできますし、限度額の目安も出せます。そもそも寄付の申し込みに源泉徴収票の提出は不要です。ワンストップ特例の申請でも、確定申告でも、源泉徴収票の原本を送る必要はありません(確定申告書には給与収入と源泉徴収税額を書き写します)。あくまで自分で数字を確認するために使う書類です。
給与明細から見積もる
1年分の給与明細がそろっていれば、そこから組み立てられます。支払金額にあたるのは、各月の総支給額から非課税の通勤手当を除いた額の合計に、賞与の総支給額を足したもの。社会保険料等の金額にあたるのは、控除欄の健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料・雇用保険料を12か月分足した額です。
年の途中なら、直近の給与明細の額に残り月数を掛けて、賞与の見込みを足せば十分な精度になります。正直、明細を1枚ずつ足すのは面倒でした。ただ、多くの会社は給与明細のWeb化とあわせて源泉徴収票も電子交付しているので、まず給与システムにログインして探すほうが早いです。
会社に再発行を頼む
紛失した場合は、勤務先の給与担当に再発行を頼めば対応してもらえます。源泉徴収票の交付は所得税法で会社に義務づけられているので、再発行を断られる筋合いのものではありません。退職済みの会社の分も同じで、退職した人には退職後1か月以内に交付することになっています。
もし前職に依頼しても交付されない場合は、税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を提出する手続きがあります。税務署から会社へ指導が入る仕組みです。
控除されたかの確認には使えるか
使えません。ここは混同しやすいところです。ふるさと納税の寄附金控除は年末調整では処理できないため、源泉徴収票にふるさと納税の寄付額や控除額が載ることはありません。「所得控除の額の合計額」が寄付した分だけ増えることもありません。
控除されたかどうかを確認する書類は、手続きの方法で分かれます。ワンストップ特例を使った場合は住民税からのみ控除されるので、翌年5〜6月に配られる住民税決定通知書(給与所得等に係る住民税の特別徴収税額の決定通知書)の税額控除額や摘要欄を見ます。確定申告をした場合は、所得税からの還付分と住民税からの控除分に分かれ、還付額は申告書の控えと振込額で、住民税分は同じく決定通知書で確認します。
目安としては、寄付額から2,000円を引いた額が控除されていれば正常です。通知書のどこを見るかは住民税決定通知書でふるさと納税の控除を確認する方法で画像付きで説明しています。
まとめ|支払金額と社会保険料等の2か所を押さえる
源泉徴収票で見るのは、年収にあたる「支払金額」と、詳細計算に使う「社会保険料等の金額」。この2つさえ取り出せれば、あとはポータルのシミュレーターが計算してくれます。隣の「給与所得控除後の金額」を年収と取り違えないこと、転職した年は2枚合算すること、収入が変わった年は前年の票をそのまま信じないこと。押さえるのはこの3点です。
なお、2025年分から所得税の基礎控除と給与所得控除の見直しが入っています。多くの給与所得者では限度額への影響はごくわずかですが、古い早見表ではなく、ポータルが更新している最新のシミュレーターを使ってください。
この記事は2026年8月時点の制度に基づいて書いています。制度の詳細や自分の控除額の可否については、総務省のふるさと納税ポータルサイトおよび国税庁のページ、お住まいの自治体の窓口でご確認ください。
