ふるさと納税で「いくらまで寄付できるのか」を最初に押さえるのが限度額です。この記事では、総務省が公表している目安表をもとにした年収×家族構成の早見表と、その読み方をまとめます。あわせて、早見表の数字がそのまま使えないケースと、当たりをつけたあとに何をすればいいのかまで一本道で説明します。結論から言うと、早見表は「だいたいの枠を知る道具」であって、寄付額を決める最終判断はシミュレーターで行うのが失敗しない進め方です。
早見表の使い方 3つの条件で行を選ぶ
早見表を読むときに必要な条件は3つだけです。①その年の給与収入(額面)、②配偶者を税金の扶養に入れているか、③16歳以上の扶養親族がいるか。この3つで縦と横が決まります。
ここで言う限度額とは、正確には「自己負担2,000円を除いた全額が、所得税と住民税から控除される寄付額の上限」です。限度額の範囲内で寄付すれば、寄付した金額から2,000円を引いた分が税金から差し引かれます。つまり10万円分の枠がある人が10万円寄付すれば、実質的な負担は2,000円という計算です。
注意したいのは、この表が「他の控除を受けていない給与所得者」を前提にしている点です。僕も最初は表の数字を見て「じゃあこの金額まで大丈夫だな」と思いましたが、医療費控除や住宅ローン控除があると枠は縮みます。あくまで出発点として使ってください。
早見表は額面年収で見ます。手取りではありません。

年収別の限度額早見表|独身・共働き
まずは扶養する家族がいないケースです。独身の方と、夫婦ともに一定以上の収入があって配偶者控除・配偶者特別控除の対象にならない「共働き」の方は、同じ列を見ます。
| 給与収入(額面) | 独身または共働き |
|---|---|
| 300万円 | 28,000円 |
| 350万円 | 34,000円 |
| 400万円 | 42,000円 |
| 450万円 | 52,000円 |
| 500万円 | 61,000円 |
| 550万円 | 69,000円 |
| 600万円 | 77,000円 |
| 650万円 | 97,000円 |
| 700万円 | 108,000円 |
| 800万円 | 129,000円 |
| 900万円 | 151,000円 |
| 1,000万円 | 180,000円 |
数字の伸び方が一定でないことに気づいた方もいると思います。600万円から650万円のところで大きく跳ねているのは、所得税の税率が段階的に上がる仕組みが影響しているためです。年収が階段の境目に近い人ほど、表の行をひとつ読み間違えたときの差が大きくなります。
おおまかな感覚としては、年収500万円台で6〜7万円、700万円で10万円強。この規模感を頭に入れておくと、返礼品を選ぶときのペース配分がつかみやすくなります。
家族構成別の早見表|配偶者控除・扶養親族あり
配偶者を扶養に入れている場合や、高校生・大学生の子どもがいる場合は、控除される税金そのものが減るぶん、ふるさと納税の枠も小さくなります。代表的な家族構成を並べたのが次の表です。
| 給与収入(額面) | 夫婦(配偶者控除あり) | 共働き+子1人(高校生) | 夫婦+子1人(高校生) |
|---|---|---|---|
| 300万円 | 19,000円 | 19,000円 | 11,000円 |
| 350万円 | 26,000円 | 26,000円 | 18,000円 |
| 400万円 | 33,000円 | 33,000円 | 25,000円 |
| 450万円 | 41,000円 | 41,000円 | 33,000円 |
| 500万円 | 49,000円 | 49,000円 | 40,000円 |
| 550万円 | 60,000円 | 60,000円 | 48,000円 |
| 600万円 | 69,000円 | 69,000円 | 60,000円 |
| 650万円 | 77,000円 | 77,000円 | 68,000円 |
| 700万円 | 86,000円 | 86,000円 | 78,000円 |
| 800万円 | 120,000円 | 120,000円 | 110,000円 |
| 900万円 | 141,000円 | 141,000円 | 132,000円 |
| 1,000万円 | 166,000円 | 166,000円 | 157,000円 |
「夫婦」の列は、配偶者に収入がない、または配偶者控除の対象になる範囲の収入である場合を指します。共働きで高校生の子どもが1人いる世帯と数字が並ぶのは、控除の重みがほぼ同じだからです。
ここで重要なのが、中学生以下の子どもは限度額の計算に影響しないという点です。児童手当の対象になる年齢の子どもには扶養控除が適用されないため、小学生の子どもが2人いても、限度額の上では「子どもなし」と同じ行を見ることになります。ここは勘違いしやすいところなので、家族の人数ではなく「16歳以上の扶養親族が何人いるか」で数えてください。
共働きで子どもがいる場合の読み方
共働き世帯は、どちらの収入で表を引くかで結果が変わります。ふるさと納税は寄付をした本人の税金から控除される仕組みなので、夫婦それぞれが自分の年収で限度額を計算し、自分の名義で寄付する必要があります。世帯年収を合計して1人分の枠として使うことはできません。
子どもの扶養控除も、夫婦のどちらか一方にしか付けられません。年末調整で子どもを扶養に入れている側は「共働き+子1人(高校生)」の列を、入れていない側は「独身または共働き」の列を見ます。ここを両方に付けて計算すると、世帯全体で枠を小さく見積もることになります。
僕の場合、夫婦での寄付を相談された知人には、まず「クレジットカードの名義」を確認するようにしています。妻の限度額に対して夫名義のカードで決済すると、寄付者が誰なのかで自治体とやり取りが発生することがあるためです。寄付する人と決済名義は揃えてください。
寄付の申込者名・カード名義・住民票の氏名がずれていると、控除が受けられない場合があります。
申込画面の氏名欄は、寄付をする本人のもので入力してください。
早見表の数字がそのまま使えないケース
早見表は「給与収入だけがあり、社会保険料以外の大きな控除がない人」を想定しています。次のようなケースでは、表の数字より実際の限度額が下がります。
医療費控除や住宅ローン控除がある年
医療費控除やiDeCoの掛金控除など、課税所得を下げる控除がある年は、そのぶんふるさと納税の枠も小さくなります。控除が増えて税金が減るということは、ふるさと納税で差し引ける税金の総量も減るということです。
特に注意が必要なのが住宅ローン控除との併用です。住宅ローン控除は税額そのものを直接減らす仕組みのため、影響の出方が他の控除と違います。確定申告で住宅ローン控除を受ける1年目と、ワンストップ特例を使う2年目以降でも扱いが変わります。詳しくは住宅ローン控除とふるさと納税の併用で整理しています。
年の途中で収入が変わった年
転職・退職・育休・時短勤務など、年の途中で働き方が変わった年は、前年の源泉徴収票をもとにした計算が当てになりません。特に産休・育休に入った年は、給与収入が大きく減って課税所得がゼロに近づくことがあります。
課税される所得がない年は、ふるさと納税をしても控除されず、寄付額がそのまま自己負担になります。
この場合は「やらない」という判断も正解です。ふるさと納税は全員が得をする制度ではなく、住民税・所得税を一定額納めている人ほど枠が大きくなる制度だと考えてください。年収が下がった年は、収入の多い配偶者の枠を使うほうが世帯としては合理的です。
給与以外の収入がある場合
不動産所得や事業所得、副業の雑所得、株式の譲渡益や配当を申告している場合は、給与収入だけの早見表では枠を読み切れません。これらの所得も課税対象に含まれるため、実際の限度額は表より大きくなることが多い一方、経費や損失の扱いで振れ幅も大きくなります。
自営業・フリーランスの方は、給与収入の欄に売上をそのまま入れると大きく外れます。売上ではなく、経費と各種控除を引いたあとの所得をもとに計算する必要があります。
早見表を見るときによくある勘違い
手取りではなく額面で見る
いちばん多い読み違いがこれです。早見表の「給与収入」は、税金や社会保険料が引かれる前の額面、源泉徴収票の「支払金額」にあたる数字です。手取り年収で表を引くと、実際より小さい枠で見積もることになります。逆に、手取りの感覚で額面の行を選んでしまうと過大に見積もります。額面と手取りの違いはふるさと納税の限度額は手取りで見る?額面で見る?で具体例を挙げて説明しています。
限度額はいつの年収で決まるのか
限度額を決めるのは、寄付をする年の1月1日から12月31日までの収入です。前年の年収ではありません。つまり2026年に寄付するなら、2026年の年収が基準になります。
ここが厄介なところで、その年の年収は年末にならないと確定しません。だから多くの人は前年の源泉徴収票を「今年もだいたい同じくらい」という前提で使います。この見積もりの立て方は限度額はいつの年収で決まる?にまとめました。昇給やボーナスの増減が読めない年は、少し低めに見積もっておくと超過を避けられます。
超えた分は自己負担になる
限度額を超えて寄付しても、寄付自体は問題なくできます。ただし超えた部分は控除の対象外で、そのまま自分の負担になります。返礼品は受け取れるので完全な損とは限りませんが、還元率で考えると割高な買い物です。超過したときの影響と、超えたと気づいたあとの考え方は限度額を超えたらどうなる?で解説しています。
限度額ぎりぎりを狙わず、目安の8〜9割で止めておくと超過のリスクを抑えられます。

当たりをつけたあとにやること
早見表で枠の規模感がつかめたら、次は自分の条件を入れた計算に進みます。手順としてはこの流れです。
前年分の源泉徴収票を手元に出します。「支払金額」「社会保険料等の金額」「源泉徴収税額」の3か所を使います。
昇給・転職・残業の増減を踏まえ、今年の額面がいくらになりそうかを見積もります。判断に迷ったら低めに置きます。
ポータルサイトの詳細シミュレーターに、見込み年収と社会保険料、扶養家族、医療費控除などを入力します。
年末の残業代やボーナスの変動を吸収する余白を残します。
シミュレーターは「かんたん版」と「詳細版」で精度がまるで違います。かんたん版は年収と家族構成だけを入れるもので、出てくる数字は早見表とほぼ同じです。医療費控除や住宅ローン控除がある人は詳細版を使ってください。入力欄のどこに源泉徴収票のどの数字を入れるかはシミュレーターの使い方で画面に沿って説明しています。
仕組みまで理解して自分で計算したい方向けに、住民税の特例分から逆算する計算式を限度額の計算方法にまとめました。正直、手計算は面倒ですが、一度やっておくと「なぜ住宅ローン控除で枠が変わるのか」が腑に落ちます。
枠が決まったら、あとは年内の締め切りから逆算するだけです。寄付の受付は12月31日までですが、決済方法によって年内扱いになる締切が早まります。ワンストップ特例を使う場合は、申請書の提出期限が翌年1月10日必着です。年末にまとめて寄付すると、この書類作業がかなり慌ただしくなります。
まとめ|早見表は目安 最後は自分の条件で確かめる
早見表でつかむのは「6万円台なのか、10万円を超えるのか」という桁の感覚です。そこから先、医療費控除や住宅ローン控除、年の途中の収入変動といった個別事情は、表では拾えません。額面年収で行を選び、16歳以上の扶養親族の人数で列を選び、出た数字の8〜9割を上限にして計画を立てる。この順番で進めれば、超過して自己負担が増える事態はほぼ避けられます。
本記事の早見表は総務省が公表しているふるさと納税の目安表に基づくもので、2026年8月時点の制度内容によります。税制改正で数字が変わることもあるため、実際に寄付する前に総務省のふるさと納税ポータルサイトかご自身が使うポータルの詳細シミュレーターで最新の条件を確認してください。
