ワンストップ申請をやってみる/はじめてのふるさと納税教室・第6回

ワンストップ特例の申請書とボールペン

寄付の申し込みが終わっても、それだけでは税金は戻ってきません。控除を受けるための手続きが、もうひと工程だけ残っています。第6回は、確定申告をせずに済ませられる「ワンストップ特例」を取り上げます。自分が使えるかどうかの見きわめ方、申請書の入手と記入、本人確認書類の組み合わせ、オンラインで完結させる方法、そして絶対に外せない提出期限まで、順番どおりに進めていきましょう。

目次

ワンストップ特例とは|確定申告をせずに控除を受ける方法

ワンストップ特例は、正式には「寄附金税額控除に係る申告特例」といいます。寄付をした自治体に申請書を1枚出しておくと、その自治体からお住まいの市区町村へ寄付の情報が届き、確定申告をしなくても控除が受けられるしくみです。会社員や公務員のように、ふだん確定申告をしない方のために用意された制度だとお考えください。

第2回でお話ししたとおり、確定申告をした場合の控除は所得税の還付と住民税の減額に分かれます。ワンストップ特例を使った場合は所得税からの還付がなく、本来なら所得税から戻るはずだった分もまとめて、翌年度の住民税から差し引かれます。窓口が住民税ひとつになるだけで、自己負担2,000円を除いた分が控除されるという結論は変わりません。

手続きの負担は、確定申告よりずっと軽くて済みます。用紙に名前と住所とマイナンバーを書き、本人確認書類のコピーを添えて送るだけ。慣れれば1件あたり5分ほどの作業です。

使えるかどうかを先に確かめる

便利な制度ですが、誰でも使えるわけではありません。条件は大きく2つです。ここを確かめずに申請書を送ると、あとから無効になって控除が受けられなくなることがあります。先に自分がどちらの道を通るのかを決めてしまいましょう。

確定申告をしない人であること

1つ目の条件は、その年について確定申告も住民税の申告もしないことです。給与所得だけの会社員で年末調整が済んでいる方は、通常この条件を満たします。

逆に、医療費控除や住宅ローン控除の1年目、副業や個人事業の所得がある、給与が2か所以上ある、株や不動産の売却益を申告する——こうした事情で確定申告をする方は、ワンストップ特例を使えません。この場合は確定申告のなかで寄付金控除もあわせて申告します。

やっかいなのは、申請書を出したあとで確定申告が必要になったときです。あとから確定申告をすると、提出済みのワンストップ申請はすべて無効になります。医療費がかさんだ年などは特に起こりやすいので、確定申告をするなら寄付分も必ず申告書に書き入れてください。書き忘れると、そのぶんの控除だけがまるごと消えてしまいます。

申請書を出したあとに確定申告をする場合は、ふるさと納税の寄付金も忘れずに申告書へ記入してください。

寄付先が5自治体までであること

2つ目の条件は、1年間(1月1日〜12月31日)の寄付先が5自治体以内であることです。数えるのは寄付の「回数」ではなく「自治体の数」です。同じ市に3回寄付しても1自治体と数えますので、返礼品を複数選んだこと自体は問題になりません。ただし申請書は寄付1回ごとに1枚必要で、同じ自治体に3回寄付したなら3枚提出します。ここは混同しやすいところです。

6自治体目に寄付した時点で、その年はワンストップ特例が使えなくなります。5自治体までに収まりそうなら申請書を出しておき、年末に増えそうなら最初から確定申告に切り替える、と決めておくと迷いません。

申請書に添えるマイナンバーカードのコピー

申請書の入手と記入

申請書は、多くの自治体で寄付後に返礼品や受領証明書とは別便で郵送されてきます。第5回でお話しした申し込み画面の「ワンストップ特例申請書を希望する」にチェックを入れていれば、待っているだけで届きます。チェックを忘れた場合や急ぐ場合は、総務省のサイトや各ポータルサイトから様式をダウンロードして印刷すれば、それを使って構いません。様式は全国共通です。

記入する内容は、提出先の自治体名、寄付年月日と金額、住所・氏名・生年月日・電話番号、そしてマイナンバーです。押印は2021年から不要になっています。

用紙の下のほうに、小さなチェック欄が2つあります。ここが一番の落とし穴です。「確定申告をする必要のない方」「寄付先が5団体以内である」という趣旨の確認事項で、両方にチェックを入れないと受け付けてもらえません。あらかじめ印字されている場合もありますが、空欄なら自分で入れてください。

STEP
申請書を用意する

届いた封筒から申請書を取り出すか、ポータルサイトから様式を印刷します。寄付1件につき1枚です。

STEP
寄付の内容を書き写す

寄付年月日と金額を、受領証明書か申し込み完了メールを見ながら正確に書きます。あらかじめ印字済みのこともあります。

STEP
住所・氏名・マイナンバーを書く

住所は住民票のとおりに書きます。転居した場合は現住所ではなく、届け出済みの住所と一致しているかを確かめてください。

STEP
2つのチェック欄を埋める

確定申告をしないこと、寄付先が5自治体以内であることの確認欄に、忘れずにチェックを入れます。

STEP
本人確認書類のコピーを添えて送る

下の表の組み合わせでコピーを用意し、申請書と一緒に自治体へ郵送します。返信用封筒が同封されていることも多いです。

本人確認書類の組み合わせ

添付書類は「マイナンバーが確認できるもの」と「本人であることが確認できるもの」の2種類が必要です。手元にある書類によって組み合わせが変わります。

手元にあるもの添付するコピー
マイナンバーカード表面と裏面のコピー(これ1枚で完結)
通知カード、またはマイナンバー記載の住民票そのコピー+運転免許証かパスポートのコピー
通知カード等はあるが写真付き証明書がないそのコピー+健康保険証・年金手帳などから2点のコピー

マイナンバーカードをお持ちなら、コピー機で表と裏をとるだけですから一番簡単です。通知カードを使う場合は、記載された氏名・住所が現在のものと一致している必要があります。引っ越しや結婚で変わっているときは、住民票を取り直したほうが確実です。健康保険証のコピーを送るときは、保険者番号や記号・番号を黒く塗りつぶすよう案内している自治体が増えています。

スマホでマイナンバーカードを読み取る様子

オンライン申請で完結させる場合

マイナンバーカードとNFC対応のスマートフォンをお持ちなら、郵送せずにスマホだけで申請を終わらせられます。専用アプリでマイナンバーカードを読み取って本人確認をするため、申請書の記入も、本人確認書類のコピーも、切手も封筒も要りません

現在このしくみを提供しているのは「ふるまど(旧IAM)」と「自治体マイページ」の2系統で、寄付先の自治体がどちらに対応しているか(あるいは対応していないか)で使うサービスが決まります。自分で選ぶというより、寄付後に届く案内メールに書かれたほうを使う、という流れです。対応していない自治体には従来どおり郵送します。

所要時間は1件あたり数分で、複数の自治体分をまとめて手続きできるのが利点です。年末にまとめて寄付した方ほど、郵送との差が大きく出ます。

マイナンバーカードとNFC対応スマホがあるなら、オンライン申請が最短です。

[/point]

アプリの入れ方から読み取りのコツ、うまく認証できないときの対処までは、ワンストップ特例のオンライン申請のやり方で画面に沿って説明しています。カードの読み取りでつまずく方が多いので、初めてなら手順を見ながら進めるほうが早いはずです。

提出の期限|翌年1月10日必着

ワンストップ特例でもっとも大切なのが期限です。寄付をした翌年の1月10日「必着」。消印有効ではありません。年末に投函して1月11日に届いた申請書は、受け付けてもらえないのが原則です。

年末年始は郵便が動かない日があり、配達にも通常より日数がかかります。12月に寄付した分は、遅くとも1月5日ごろまでには投函しておきたいところです。自治体から申請書が届くのを待っていると間に合わないこともあるので、その場合は様式を自分で印刷して先に送ってしまって構いません。

なお、1月10日が土曜・日曜・祝日にあたる年は、地方税法の期限の特例によって次の開庁日までずれることがあります。実際、2025年中の寄付分は1月10日が土曜だったため、郵送分の期限が2026年1月13日必着とされました。ただしこのときオンライン申請の期限は1月10日のままで、郵送とずれていました。期限がずれるかどうかは年によって違い、郵送とオンラインで別々のこともあります。1月10日を過ぎても大丈夫だろうと考えず、当年の案内を必ず確かめてください。

【間に合わなかったときは】

期限を過ぎても、控除そのものを諦める必要はありません。確定申告をすれば寄付金控除を受けられます。申告期限(通常は3月15日)を過ぎた場合でも、還付の申告は5年前までさかのぼって行えます。

12月の寄付から逆算した具体的なスケジュールは、ワンストップ特例の期限と年末の逆算スケジュールにまとめています。年末に駆け込む予定のある方は、こちらを先に読んでおくと安心して寄付できます。

出したあとに確かめること

申請書を送ったら、多くの自治体から「受付完了」のはがきやメールが届きます。オンライン申請なら画面上で受付状況を確認できます。届かないまま何週間も過ぎるようなら、書類の不備で止まっている可能性がありますから、電話やメールで問い合わせてください。1月10日が近づいてからでは修正が間に合いません。

もうひとつ、忘れずにやっておきたいのが住所変更の連絡です。ワンストップ特例は、寄付先の自治体から1月1日時点で住民票のある市区町村へ情報を送ることで成り立っています。寄付後から翌年1月1日までのあいだに引っ越した方は、「申請事項変更届出書」を1月10日までに寄付先へ提出する必要があります。結婚などで氏名が変わった場合も同じです。この連絡が抜けると、送り先が違うために控除されないという事態が起こります。

受付通知が届いたか、引っ越し・改姓があれば変更届を出したか。この2点だけ確認しておけば十分です。

細かい条件やつまずきの詳細

ここまでが、ワンストップ特例のひととおりの流れです。実際にはもう少し細かい場面もあります。夫婦のどちらの名義で寄付したか分からなくなった、申請書の記入を間違えた、同じ自治体に何度も寄付して枚数が分からない、6自治体目に寄付してしまった、といったご相談をよくいただきます。

こうした個別のつまずきと対処法は、ワンストップ特例の完全ガイドで一つずつ取り上げています。今の時点ですべてを覚える必要はありませんので、実際に困ったときに開いていただければ大丈夫です。

家族の名義で申し込んでしまいました。私の申請書で出せますか?

出せません。控除を受けられるのは、寄付を申し込み、支払った本人だけです。クレジットカードの名義も寄付者本人のものである必要があります。名義が違ってしまった寄付は、その方が自分の申請書を出すか、控除を諦めるかのどちらかになります。

申請書を出したのに、住民税が安くなっているか分かりません。

反映されるのは寄付の翌年6月からの住民税です。毎年5〜6月に配られる住民税決定通知書の「税額控除額」で確認できます。確かめ方は次回くわしくご案内します。

ワンストップ特例と確定申告、どちらが得ですか?

控除される合計額は基本的に同じです。所得税から戻るか、住民税だけから引かれるかという受け取り方の違いですので、条件を満たしていて確定申告の予定がないなら、手間の少ないワンストップ特例で構いません。

まとめ|第7回は控除されたかの確認へ

おさらいします。確定申告をしない方で、寄付先が5自治体以内なら、ワンストップ特例が使えます。申請書は寄付1件につき1枚、本人確認書類のコピーを添えて、翌年1月10日必着で寄付先の自治体へ。マイナンバーカードとNFC対応スマホがあれば、オンラインで郵送なしに済ませられます。引っ越しや改姓があったときは変更届も忘れずに。

順番どおりに進めれば、つまずくところはほとんどありません。書類が1枚と切手が1枚、それで終わる手続きです。ここまで来れば、今年のふるさと納税でやるべきことは実質的に完了しています。

前回の第5回・実際に寄付してみるで申し込みを終え、今回で控除の手続きまで進みました。次の第7回・控除されたかを確認するでは、翌年6月の住民税決定通知書のどこを見れば控除を確かめられるのか、金額が思っていたより少ないときに何を疑えばいいのかを扱います。

制度の内容は2026年8月時点のものです。申請期限や必要書類は寄付先の自治体によって案内が異なる場合がありますので、最終的には寄付先自治体および総務省のふるさと納税ポータルサイトでご確認ください。

目次