結論から言うと、マイナンバーカードとカードを読み取れるスマートフォンを持っているなら、ワンストップ特例はオンライン申請にしたほうが早いです。僕は紙の申請書を印刷して本人確認書類をコピーして封筒に入れて……を何年か続けたあと、オンラインに切り替えました。1件あたりの所要時間は3分ほどで、郵便局にもコンビニにも行かなくて済みます。この記事では、オンライン申請に必要なもの、実際の手順、カードが読み取れないときの対処、紙の申請と混ざったときの考え方までを一本道でまとめます。制度の内容は2026年8月時点、総務省および各ポータルサイトの案内にもとづいて確認したものです。
オンライン申請でできること
ワンストップ特例のオンライン申請とは、これまで紙でやっていた「申請書の記入」と「本人確認書類の添付」を、マイナンバーカードの読み取りに置き換える仕組みです。マイナンバーカードのICチップには、公的個人認証(JPKI)の電子証明書が入っています。これをスマホで読み取ることで、名前・住所・マイナンバーの正しさと、申請しているのが本人であることを同時に証明できます。つまり本人確認書類のコピーも、返信用封筒も、切手も要らなくなるということです。
紙の申請と比べると、負担の差はかなりはっきりしています。
| 項目 | 紙の申請 | オンライン申請 |
|---|---|---|
| 用意するもの | 申請書・マイナンバー確認書類・本人確認書類のコピー・封筒 | マイナンバーカード・NFC対応スマホ |
| 1件あたりの手間 | 記入と印刷、コピー、投函 | 画面の入力とカードの読み取り |
| 到着までの時間 | 郵送日数がかかる | 送信した時点で受付 |
| 不備の連絡 | 郵送でやり取り | 画面上で先に弾かれることが多い |
特にありがたいのが、年末ギリギリの寄付でも郵送日数を気にしなくていい点です。ワンストップ特例の申請期限は寄付した翌年の1月10日まで(必着)で、紙の場合は年末年始の郵便事情を読んで逆算する必要があります。オンラインなら締切当日でも送信で完結します。とはいえ、締切当日にマイナンバーカードの暗証番号を思い出せない、という事故はあり得るので、僕は12月中に片づける派です。
なお、オンライン申請でも制度そのものの条件は変わりません。もともと確定申告をする必要がない給与所得者であること、寄付先が1年間で5自治体以内であることは共通です。医療費控除や住宅ローン控除の初年度などで確定申告をするなら、ワンストップ特例の申請は無効になり、寄付分もまとめて確定申告で申告することになります。
6自治体以上に寄付した年や、確定申告をする年は、ワンストップ特例そのものが使えません。

用意するもの
用意するものは実質2つだけです。ただし、どちらも「持っているつもりで持っていない」ことがあるので、最初の1回は事前に中身を確認しておくと詰まりません。
マイナンバーカード
必要なのはプラスチックのマイナンバーカード本体です。通知カードやマイナンバー記載の住民票では代用できません。そして、カードがあるだけでは足りず、有効な電子証明書と暗証番号が揃っている必要があります。
オンライン申請で使う暗証番号は基本的に2種類です。ひとつが券面事項入力補助用の暗証番号(数字4桁)で、カードの券面情報を読み取るために使います。もうひとつが署名用電子証明書の暗証番号(英大文字と数字を混ぜた6〜16桁)で、申請書に電子署名をするために使います。市区町村の窓口でカードを受け取ったときに設定したもので、4桁のほうはコンビニで住民票を取るときにも使うので覚えている人が多い一方、6〜16桁のほうを忘れているケースが目立ちます。正直、僕も初回は思い出すのに時間がかかりました。
署名用電子証明書は発行から5回目の誕生日で有効期限を迎えます。カード本体の期限とは別なので、更新のお知らせが来ていないか確認しておきましょう。
読み取りができるスマートフォン
マイナンバーカードのICチップを読むには、NFC(近距離無線通信)に対応したスマートフォンが必要です。iPhoneはiPhone 7以降であれば読み取りに対応しています。Androidは機種によって対応状況が異なるので、マイナポータルアプリの対応機種一覧で自分の端末を確認するのが確実です。
そのうえで、多くのサービスがマイナポータルアプリを読み取りエンジンとして使います。申請サイトの画面から自動的にマイナポータルアプリが呼び出され、読み取りが終わると元の画面に戻ってくる、という流れです。事前にマイナポータルアプリを入れておくと、途中で止まらずに済みます。

申請の手順
ここからは実際の流れです。ポータルサイトによって画面の見た目は違いますが、やることの順番はほぼ同じでした。
アプリを準備する
先にマイナポータルアプリをインストールし、Bluetoothではなく端末のNFC機能がオンになっているかを確認します。iPhoneは特に設定不要で、アプリ側から読み取り画面が開きます。スマホケースが分厚い場合や、ケースにICカードを入れている場合は外しておきます。この一手間で読み取り失敗がかなり減ります。
寄付ごとに申請する
申請は原則として寄付1件ごとです。寄付したポータルサイトの寄付履歴から申請ボタンを押し、案内に沿って進めます。
ポータルサイトにログインし、寄付履歴の一覧から対象の寄付を選んで「ワンストップ特例申請」を開きます。申請先の自治体が指定するサービス(自治体マイページやふるまどなど)の画面へ移動します。
寄付時に登録した情報が表示されるので、住民票の記載と一致しているかを確認します。ここが違うと後で申請が受理されないため、引っ越し直後の人は特に注意してください。
まず券面事項入力補助用の暗証番号(数字4桁)を入力し、スマホの背面にカードを密着させて読み取ります。氏名・住所・マイナンバーが自動で入ります。
署名用電子証明書の暗証番号(英大文字と数字で6〜16桁)を入力し、もう一度カードを読み取ります。内容を確認して送信すれば、その寄付分の申請は完了です。
寄付先の自治体が対応していれば、複数の寄付をまとめて申請できるサービスもあります。ふるさと納税総合窓口「ふるまど」は複数自治体分の一括申請に対応しており、以前あった専用アプリ「IAM(アイアム)」の機能はふるまどへ統合されました。まとめて申請できる場合でも、電子署名は最後に一度で済むので、5自治体分でも10分あれば終わります。
完了の確認
送信して終わり、にしないでください。オンライン申請は「申請が届いた」段階と「自治体が受理した」段階が分かれています。送信直後に届く受付メールは前者にすぎず、住所の相違などがあれば後日不備の連絡が来ます。
自治体マイページやふるまどは、申請の状況を一覧で確認できます。僕は寄付が全部終わった年末に一度、翌年1月上旬にもう一度、受付状況を見て「受理済み」になっているかを確かめています。申請してから受理されるまでの表示更新には数日から数週間かかることがあるので、1月10日の直前に慌てて確認するより、年内に一巡させておくほうが安全です。
年末の逆算スケジュール
12月上旬:寄付を済ませる(決済完了日が寄付日です)
12月中旬〜下旬:オンライン申請をまとめて実施
翌年1月上旬:受付状況を確認し、不備があれば再申請(期限は1月10日)
サイトによって使えるアプリが違う
ここが一番ややこしいところです。オンライン申請の窓口はひとつではなく、寄付した自治体がどのサービスを導入しているかで、使うアプリやサイトが変わります。代表的なのが自治体ごとの寄付情報を一元管理できる「自治体マイページ」、複数自治体をまとめて申請できる「ふるまど」、そしてさとふるの「さとふるアプリdeワンストップ申請」です。ふるなびやJALふるさと納税など、各ポータルも自社の寄付履歴からこれらの窓口へ案内する形をとっています。
つまり、5自治体に寄付したら、自治体マイページで3件、ふるまどで2件、といった具合に窓口が分かれることが普通に起こります。面倒に感じるかもしれませんが、どの窓口も読み取りの手順自体は同じなので、一度慣れれば戸惑いません。どのポータルがどの窓口につながるかを含めた比較はふるさと納税サイトの比較記事にまとめています。
窓口が違っても、使うのはマイナンバーカードと同じ2つの暗証番号です。
楽天で寄付した場合
楽天ふるさと納税の場合は、寄付履歴一覧のページに「ワンストップオンライン申請」のボタンが出ます。そこから進むと、自治体マイページかふるまどのどちらかに遷移します。どちらに飛ぶかは寄付先の自治体によって決まっていて、こちらでは選べません。楽天側のオンライン申請の受付期限は寄付した翌年の1月10日までで、紙の申請書が自治体に到着している必要がある紙申請と比べると、ぎりぎりまで粘れます。
楽天の画面の流れは楽天ふるさと納税のワンストップ申請手順で個別に追っています。ポイント還元の絡みで楽天に寄付を集約している人は多いはずなので、そちらも合わせて確認してみてください。
うまくいかないときに確認すること
オンライン申請でつまずくポイントは、経験上ほぼ2種類に集約されます。カードが読めないか、そもそも自治体が対応していないかです。
カードが読み取れない
読み取りエラーの原因で多いのは、カードを当てる位置がずれていることです。NFCアンテナの位置は機種によって違い、iPhoneは本体上部の背面側、Androidは背面中央や下部にあることが多いです。カードを動かさず、10秒ほどじっと押し当てるのがコツでした。金属製のスマホリングやスマホケースのカードポケットは干渉するので外します。
暗証番号のロックにも注意してください。署名用電子証明書の暗証番号は連続5回、券面事項入力補助用の4桁は連続3回間違えるとロックがかかります。ロックされると自分では解除できず、住民票のある市区町村の窓口でカードを持って再設定する必要があります。年末年始は窓口が閉まっているので、暗証番号があやしいと思った時点で、年内の平日に窓口へ行くのが唯一の対処法です。ここだけは締切に間に合わなくなる典型パターンなので、心当たりがあるなら早めに動いてください。
それでも読み取れない場合は、マイナポータルアプリの再起動、OSの更新、別の端末で試す、の順で切り分けます。家族のスマホを借りても、読み取るカードが本人のものであれば問題ありません。
対象になっていない自治体
すべての自治体がオンライン申請に対応しているわけではありません。寄付履歴に申請ボタンが出てこない、あるいは「郵送での申請をお願いします」と案内が出る場合は、その自治体は未対応です。この場合は従来どおり紙の申請書を送ります。
未対応かどうかは寄付前に自治体のページや寄付申込画面で確認できることが多いので、郵送を絶対に避けたいなら寄付先を選ぶ段階で見ておくのが手です。対応自治体は年々増えていますが、対応状況は随時変わります。
紙の申請と併用できるのか
結論として、自治体ごとにオンラインか紙のどちらかを選ぶ形であれば併用できます。A市はオンライン、B町は紙、という組み合わせに制度上の問題はありません。オンライン未対応の自治体がある限り、この併用は普通に起こります。
気をつけたいのは、同じ寄付に対して紙とオンラインの両方を出してしまうケースです。二重申請そのものは無効にはならず、一般的には後から届いた申請の内容で処理されますが、自治体の事務側で確認が必要になり、不備連絡が来ることがあります。「郵送したけど届いたか不安だからオンラインでも出しておく」という発想は、かえって時間を食います。どちらか一方に決めて、受付状況の画面で確認するほうが確実です。
また、申請後に引っ越して住所が変わった場合は、翌年1月10日までに変更届出書の提出が必要です。ふるまどのように、変更申請をオンラインで受け付けているサービスもあります。紙の申請書の書き方や、住所変更の扱いを含めた基本はワンストップ特例の基本ガイドで整理しています。
まとめ|マイナンバーカードがあれば郵送が不要になる
オンライン申請に必要なのは、マイナンバーカードと、それを読み取れるスマートフォン、そして2つの暗証番号だけです。準備さえ整っていれば、1件あたり3分ほどで、印刷もコピーも投函もなく終わります。窓口が自治体マイページとふるまどに分かれること、対応していない自治体は紙で出すこと、この2点だけ理解しておけば迷いません。
僕は郵送の手間が消えたことで、年末に「あと1自治体くらい寄付するか」と気軽に動けるようになりました。浮いた手間で返礼品を選ぶ時間が増えたのは、地味にいい変化です。まだマイナンバーカードの暗証番号を確認していないなら、寄付より先にそこから始めてください。
制度の詳細や自治体ごとの対応状況は変わることがあるため、最新の情報は総務省ふるさと納税ポータルサイトおよび寄付先自治体の案内でご確認ください。
