第4回でサイトと返礼品が決まったら、あとは申し込むだけです。とはいえ、実際の画面には「寄付者情報」「ワンストップ特例申請書の送付を希望する」など、聞き慣れない選択肢がいくつか出てきます。この第5回では、会員登録から支払いまでの流れ、途中で必ず立ち止まってほしい二か所、寄付のあとに何がいつ届くのか、そして年内の寄付として数えられる日はどこかまでを、順番どおりに整理します。ここを一度通れば、二件目からは五分で終わります。

寄付の手順 サイト登録から支払いまで
ふるさと納税の申し込みは、ネット通販とほとんど同じ流れです。返礼品をカートに入れて、名前と住所を入力して、支払い方法を選ぶ。違うのは、途中に「寄付者情報」と「ワンストップ特例申請書の希望」という二つの確認が挟まることだけです。この二つさえ落ち着いて入力すれば、あとは通販と同じ感覚で進めて構いません。
使うポータルサイトでアカウントを作ります。楽天ふるさと納税のように、すでに持っている買い物用アカウントをそのまま使えるサイトもあります。
第4回で絞った候補を選び、寄付金額(返礼品ごとに決まっています)を確認してカートに入れます。
氏名・住所・生年月日などを入力します。ここが控除の土台になるので、住民票のとおりに入力します。
「特例申請書の送付を希望する」のチェック欄が出ます。第6回で扱う手続きの入口です。
クレジットカード、コンビニ払い、銀行振込などから選びます。ここまで完了して、はじめて寄付が成立します。
会員登録と寄付者情報の入力
会員登録そのものは数分で終わります。時間をかけてほしいのは、そのあとの寄付者情報です。ここで入力した氏名・住所が、自治体から住所地の市区町村へ通知され、翌年の住民税から差し引く手続きに使われます。つまり、寄付者情報は「買い物の配送先」ではなく「税の届出先」だと考えてください。
入力の基準はひとつ、住民票の記載どおりです。マンション名や部屋番号の省略、旧字体の姓を新字体で入れる、といった小さなずれが、あとから照合できない原因になります。引っ越し予定がある方は、寄付した時点の住所で書類が作られること、翌年1月1日時点の住所地の自治体が課税を行うことの二点を頭に置いておくと、あとで慌てずに済みます。
なお、返礼品の送り先は寄付者情報とは別に指定できるサイトがほとんどです。実家や職場へ直接送りたいときは、配送先だけを変えます。寄付者情報のほうを送り先に書き換えてしまうと、控除の手続きが狂います。
寄付者情報は住民票どおり、配送先は別欄で指定する。この二つを混ぜないこと。
寄付者名義は控除を受ける人に合わせる
はじめての方がいちばんつまずくのが、名義です。ふるさと納税の控除は、寄付した本人の所得税・住民税からしか差し引かれません。夫の限度額を前提に計算したのに、申し込みも支払いも妻の名前とカードで行った、という場合、その寄付は妻の寄付として扱われます。妻に十分な所得がなければ、控除できる余地がほとんどありません。
ですから、確認するのは次の三つが揃っているかどうかです。寄付者情報の氏名、支払いに使うクレジットカードの名義、そして限度額を計算したときの収入の持ち主。この三つが同じ人であれば問題ありません。我が家でも、私の名前で申し込むものと夫の名前で申し込むものを、最初に紙一枚で分けてから画面に向かうようにしています。
名義でよくある取り違え
・家族カードで支払った(カード名義が本人と異なる場合は要注意)
・共通のアカウントで、夫と妻の寄付を同じ名前のまま申し込んだ
・限度額は世帯収入で計算したのに、寄付は片方の名義だけで行った
名義まわりは、途中で気づけば自治体に連絡して直せる場合もありますが、年末は問い合わせが混み合います。詳しい考え方と、家族の分をまとめて申し込みたいときの整理の仕方はふるさと納税の名義はどうする?夫婦・家族の分け方にまとめています。
支払い方法を選ぶ
支払い方法は、クレジットカード・コンビニ払い・銀行振込・各種スマホ決済などから選びます。年間を通して見ればどれを選んでも控除の扱いは同じですが、性格は違います。クレジットカードは申し込みと同時に決済が終わるので、いつ寄付が成立したかが明確です。コンビニ払いや振込は、払込票が届いてから支払うまでに数日かかることがあり、その分だけ成立が遅れます。
この差が効いてくるのが年末です。後述しますが、年内の寄付として数えられるかどうかは支払いが済んだかどうかで決まります。急ぐ時期でなければどれでも構いません。選び方の細かい比較はふるさと納税の支払い方法を比べるで扱っています。
ワンストップ申請を希望するかの選択
申し込み画面の終盤に、「ワンストップ特例申請書の送付を希望する」というチェック欄があります。ここにチェックを入れると、寄付先の自治体から申請書の用紙が郵送されてきます。チェックを忘れても致命傷ではありません。申請書は各自治体のサイトや総務省の様式からダウンロードして印刷できますし、そもそも用紙を使わないオンライン申請に対応する自治体も増えています。
ワンストップ特例が使えるのは、確定申告をする必要がない給与所得者で、かつその年の寄付先が5自治体以内の場合です。医療費控除で申告する予定がある方、副業や不動産の収入で申告する方は、ワンストップではなく確定申告で寄付を申告することになります。この場合、チェックを入れて申請書が届いても使わないだけですので、迷ったらとりあえず希望しておいて構いません。
ワンストップは「5自治体以内」「確定申告をしない人」の二条件。どちらかを外れたら確定申告に切り替えます。
気をつけたいのは期限です。ワンストップ特例の申請書は、寄付した翌年の1月10日必着と定められています。12月に寄付すると、書類が届いてから返送するまでの猶予がほとんどありません。制度の全体像と、オンライン申請を含む申請方法の違いはワンストップ特例制度の使い方に整理しました。実際の記入と提出は、次回の第6回で画面を追いながら進めます。

寄付が終わったあとに届くもの
決済が終わると、まず申し込み完了メールが届きます。そのあと、寄付先の自治体から書類が、生産者や事業者から返礼品が、それぞれ別の便で届きます。同じ封筒に入っていないので、「返礼品は来たのに書類が来ない」と心配になる方が多いのですが、これは通常の流れです。
寄付金受領証明書
寄付金受領証明書は、その自治体に寄付したことを証明する書類です。確定申告で寄付金控除を受けるときに必要になります。発送の目安は自治体によって幅がありますが、寄付の完了からおおむね1週間〜1か月程度で届くことが多く、年末の繁忙期はさらに時間がかかることもあります。ワンストップ特例を使う場合は、この証明書がなくても申請できます。
大切なのは、届いたら捨てないことです。確定申告に使う可能性がある方は、証明書がないと控除を受けられません。なお、特定のポータルサイト経由の寄付については、サイトが発行する年間寄付額の証明書(寄附金控除に関する証明書)を確定申告でまとめて使える仕組みがあり、自治体ごとの証明書を一枚ずつ添付しなくてよくなっています。詳しい使い方は確定申告の回で扱います。
返礼品の発送時期
返礼品が届く時期は、品目でまったく違います。常温の加工品や日用品は数週間で届くことが多く、旬のある果物や海産物は「収穫後の◯月頃発送」と決まっているため、寄付から半年近く空くこともあります。定期便を選べば、月ごとに分けて届きます。
第4回で「冷凍庫から逆算する」とお伝えしたのは、ここが理由です。年末にまとめて申し込むと、翌年の同じ時期に一斉に届いて入りきらない、ということが起こります。申し込み画面の発送時期欄は、寄付金額と同じくらい大事な情報として見てください。
年内の寄付として数えられる日はいつか
ふるさと納税は暦年で区切られます。その年の寄付として扱われるのは、12月31日までに支払いが完了したもので、判定されるのは申し込みボタンを押した日ではなく、自治体に納付された日です。クレジットカード決済のように申し込みと同時に決済が完了する方法なら、この二つはほぼ一致します。
一方、コンビニ払いや銀行振込は、払込票の到着や金融機関の営業時間の関係で、支払いが年をまたぐ可能性があります。年末は自治体の窓口も金融機関も動きが止まりますから、12月に入ってからの寄付は決済が即時に終わる方法を選ぶほうが確実です。なお、ポータルサイトによっては12月31日中に申し込みを確定していれば納付日を年内として扱う運用を明示しているところもありますが、扱いはサイトごとに異なります。ぎりぎりを狙うより、少し前倒しにするほうが気が楽です。
12月下旬はサイトも自治体も混み合います。年内に間に合わせたい寄付は、遅くともクリスマス前までに決済を終えておくのが安全です。
年末の駆け込みで具体的に何がどこまで間に合うのか、支払い方法別の締め切りの考え方は12月の駆け込みふるさと納税で間に合う条件にまとめています。

記録の残し方|寄付先と金額をひとつにまとめる
寄付が二件、三件と増えてくると、「どこにいくら寄付したか」があいまいになります。これが翌年の手続きで効いてきます。ワンストップなら5自治体以内かどうかの判定に、確定申告なら合計金額の集計に、そして限度額を超えていないかの確認にも必要だからです。
凝った管理は要りません。表計算ソフトでも手帳の見開き一枚でも十分です。記録しておきたいのは、寄付日・自治体名・寄付金額・名義・ワンストップ申請の希望有無・申請書を返送したかどうかの六つです。実際に書くと、次のようになります。
| 寄付日 | 自治体 | 金額 | 名義 | ワンストップ | 返送済 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2月14日 | A市 | 10,000円 | 夫 | 希望 | 済(3/2) |
| 6月3日 | B町 | 15,000円 | 夫 | 希望 | 未 |
| 9月20日 | C村 | 8,000円 | 私 | 希望しない | — |
この一覧があるだけで、年明けに「申請書を出し忘れた自治体はないか」を数分で確認できます。ポータルサイトのマイページにも寄付履歴は残りますが、複数のサイトを使い分けている場合、履歴はサイトごとに分かれてしまいます。手元の一覧は、それらを串刺しにする役割です。
あわせて、寄付金受領証明書は一か所にまとめておきます。クリアファイル一枚に年ごとに入れていくだけで十分で、封筒を開けたらその場で放り込む、という習慣にしてしまうのが続けるこつです。ここまでできていれば、記録の管理としては十分です。
まとめ|第6回はワンストップ申請の実務へ
第5回では、申し込み画面の流れに沿って寄付の手順を追いました。押さえるところは三つです。寄付者情報は住民票どおりに入力し、名義は控除を受ける人に揃えること。ワンストップ希望のチェックは迷ったら入れておいてよく、使うかどうかはあとで決められること。そして年内の寄付になるかどうかは支払いの完了日で決まるので、年末は即時決済を選ぶこと。この三つを守れば、あとの手続きはずいぶん楽になります。
返礼品の選び方から見直したい方は第4回・サイトと返礼品の選び方へ戻ってください。次の第6回・ワンストップ特例申請の実務では、届いた申請書の記入例、マイナンバーの本人確認書類の組み合わせ、オンライン申請の手順、そして1月10日必着に間に合わせるための逆算を、実際の書類に沿って進めます。
寄付金額や返礼品の在庫、各サイトの締め切り運用は時期によって変わります。申し込みの直前には、利用するポータルサイトの案内を確認してください。
