会社員のふるさと納税のやり方|年末調整との関係と手続きの選び方

源泉徴収票と電卓を並べたふるさと納税の準備

結論から言うと、会社員がふるさと納税でやることは3つだけです。限度額を確かめる、寄付する、控除の手続きをする。この記事では源泉徴収票のどこを見ればいいのか、ワンストップ特例と確定申告のどちらを選ぶのか、年末調整との関係はどうなるのかを、申し込みから控除が反映されるまでの順番どおりに説明します。会社に知られるのか、転職した年はどうするのかといった、会社員ならではの疑問にも触れます。

目次

会社員がやることは3つだけ

ふるさと納税は、応援したい自治体に寄付をすると、自己負担2,000円を除いた金額が翌年の税金から差し引かれる制度です。所得税と住民税から控除され、そのうえで返礼品が届きます。仕組みとしては「税金の前払いをして、そのお礼に地域の品をもらう」に近いものです。

会社員はこの制度と相性がいいと僕は考えています。給与だけが収入源なら年間の所得が読みやすく、限度額の見積もりがぶれにくいからです。さらに、条件を満たせば確定申告をせずに手続きを終えられます。

全体の流れはこうです。

STEP
限度額を確かめる

昨年の源泉徴収票を用意し、ポータルサイトのシミュレーターで今年の限度額の目安を出します。今年の収入が去年と大きく変わりそうなら、その分を加味して少なめに見積もります。

STEP
寄付を申し込む

ポータルサイトで返礼品を選び、寄付を申し込みます。名義と支払い方法、住所の3点だけは慎重に確認します。

STEP
控除の手続きをする

ワンストップ特例(申請書を各自治体へ提出)か、確定申告のどちらかを選びます。何もしないと控除は受けられません。

この3つ目を忘れる人がいちばん多いところです。寄付しただけでは税金は1円も安くなりません。手続きまでがワンセットだと考えてください。

ただし、全員にすすめられる制度ではありません。もともと納める所得税・住民税が少ない人、たとえば育休や休職で年収が大きく下がった年、収入が住民税非課税の水準にある人は、控除できる枠自体が小さく、自己負担2,000円すら回収できないことがあります。この場合は無理に寄付せず、収入が戻った年に始めるほうが合理的です。

限度額の計算に使う源泉徴収票の記載欄

限度額は源泉徴収票で確かめる

控除には上限があり、これを超えた分はただの寄付になります。上限は年収ではなく課税所得と家族構成で決まるため、正確に知りたいなら源泉徴収票を手元に置くのが早道です。

見るのは主に3か所です。左上の「支払金額」がいわゆる年収、「給与所得控除後の金額」が給与から必要経費相当を引いた額、「所得控除の額の合計額」が社会保険料や生命保険料、扶養などの控除の合計です。後ろ2つの差が課税所得にあたり、限度額はここから計算されます。ポータルサイトの詳細シミュレーターも、たいていこの2つの数字の入力を求めてきます。

目安として、総務省が公開している「全額控除されるふるさと納税額の目安」を挙げておきます。2026年8月時点で公表されている表から抜き出したものです。

給与収入独身または共働き共働き+高校生の子1人
300万円約28,000円約19,000円
400万円約42,000円約33,000円
500万円約61,000円約49,000円
600万円約77,000円約66,000円
700万円約108,000円約86,000円

この表はあくまで目安です。社会保険料が平均的で、住宅ローン控除や医療費控除などがない前提で作られているため、条件が違えば実際の上限は上下します。特に住宅ローン控除を受けている人、iDeCoで所得控除を使っている人は課税所得が下がる分だけ限度額も小さくなります。個別の金額は自分の源泉徴収票の数字を入れてシミュレーターで確認してください。読者ごとの正確な控除額は、ここで言い切れる性質のものではありません。

僕は限度額ちょうどまで攻めるのではなく、目安額の8〜9割で止めるようにしています。年末の残業代や賞与の変動で実際の年収がずれると、上限を超えた分が自己負担になるからです。数千円の余白を残しておくほうが気が楽でした。

源泉徴収票の項目ごとの読み方と計算式は、源泉徴収票から限度額を計算する方法で詳しく説明しています。

寄付する|名義と支払いで気をつける点

返礼品選びより先に確認してほしいのが名義です。控除を受けられるのは寄付をした本人だけなので、申込者の氏名・住所・支払い名義の3つが、控除を受ける人本人でそろっている必要があります。

つまずきやすいのがクレジットカードです。夫名義のカードで妻が申し込むと、寄付者と支払者が食い違い、自治体によっては受付をやり直すことになります。家族カードは本会員名義の扱いになる点にも注意してください。ポイント目的で家族のカードを使いたくなる場面もありますが、ここは名義優先です。

住所は住民票の住所を入れます。控除は住民票のある自治体が処理するため、引っ越し直後で住民票を移していない場合は、先に転入届を出してから寄付するほうが手戻りがありません。年内に引っ越した場合は、寄付後に自治体へ変更届を出す必要が出てきます。

もうひとつ、寄付を「その年の分」として扱ってもらえる期限も押さえておきましょう。

年内に間に合わせるための2つの締切

12月31日まで:その年の寄付として扱われるのは、決済が完了した分まで。クレジットカードなら12月31日の受付時間内、銀行振込やコンビニ払いは入金日が基準になるため数日〜1週間の余裕を見ます。

翌年1月10日必着:ワンストップ特例の申請書の提出期限。年末年始は郵便が遅れるので、寄付したらすぐ出すのが確実です。

なお、2025年10月からは総務省の指定基準の見直しにより、ポータルサイトが寄付者に独自ポイントを付与することが禁止されました。以前のような「サイト独自の還元率」でポータルを選ぶ意味は薄れ、返礼品の品揃え、決済手段、申請のしやすさで比べる形に変わっています。カード会社の通常ポイントは対象外なので、支払いカードの選択には引き続き意味があります。

ワンストップ特例の申請書とマイナンバーカード

手続きはワンストップか確定申告か

寄付が終わったら、控除を受けるための手続きに進みます。会社員が選べるのは2つで、どちらか一方だけを行います。

ワンストップ特例 | 確定申告

左:

– 申告書の作成が不要で、自治体に申請書を出すだけ

– 寄付先が5自治体以内なら使える

– 控除は全額が翌年6月からの住民税から引かれる

右:

– 医療費控除など他の控除と同時に手続きできる

– 寄付先の自治体数に制限がない

– 所得税の還付と住民税の控除に分かれる

どちらを選んでも、自己負担2,000円を除いた控除額の合計は基本的に同じです。所得税から戻るか住民税から引かれるかという配分が違うだけなので、手間で選んで構いません。

ワンストップが使える条件

ワンストップ特例を使えるのは、次の3つをすべて満たす場合です。ひとつ目は、もともと確定申告をする必要がない給与所得者であること。ふたつ目は、1月1日から12月31日までの寄付先が5自治体以内であること。ここは寄付の回数ではなく自治体の数で数えます。同じ市に3回寄付しても1自治体です。みっつ目は、寄付した自治体ごとに申請書と本人確認書類を提出し、翌年1月10日までに自治体へ到着させることです。

申請書は寄付の申し込み時に「ワンストップ特例申請書を希望する」にチェックを入れると自治体から郵送されてきます。近年はマイナンバーカードとスマートフォンを使ったオンライン申請に対応する自治体も増えました。書類のコピーも切手も不要で、僕がオンラインで済ませたときは1件あたり3分ほどで完了しました。正直、紙で5自治体分の本人確認書類をコピーして封をする作業は面倒なので、対応していればオンラインを選んでいます。

申請書の書き方、マイナンバーカードがない場合の本人確認書類の組み合わせはワンストップ特例の申請手順にまとめました。

確定申告が必要になる会社員

会社員でも確定申告が必要になる場面はあります。医療費控除や初年度の住宅ローン控除を受ける年、給与以外の所得が20万円を超える副業をしている年、給与収入が2,000万円を超える年、2か所以上から給与を受けている年などです。寄付先が6自治体以上になった場合も確定申告に切り替わります。

ここで見落としやすいのが、両方の手続きが並立しないことです。

確定申告をすると、提出済みのワンストップ特例の申請はすべて無効になります

ワンストップの申請書を出したあとで医療費控除のために確定申告をする場合、その年の寄付を1件残らず申告書に記載し直す必要があります。書き漏らした自治体分は控除されません。確定申告をする可能性が少しでもある年は、寄付の記録と受領証明書を1か所にまとめておくと、あとで慌てずに済みます。手順はふるさと納税の確定申告のやり方で解説しています。

年末調整では手続きしない

「年末調整の書類にふるさと納税の欄がない」という問い合わせが毎年多いのですが、これは書き忘れでも様式のミスでもありません。ふるさと納税は年末調整の対象外の控除です。会社に申告する場面はなく、寄付の受領証明書を勤務先に提出することもありません。

生命保険料控除や地震保険料控除は年末調整で処理できますが、寄附金控除は本人が自治体または税務署に対して手続きする仕組みになっているためです。会社が代わりにやってくれる部分はゼロだと考えて、自分でワンストップか確定申告のどちらかを完了させてください。

控除がいつ効いてくるのかも押さえておきましょう。ワンストップ特例なら、翌年6月から始まる住民税が毎月少しずつ安くなる形で1年かけて反映されます。確定申告なら、所得税分が申告のおよそ1〜2か月後に指定口座へ還付され、残りが同じく翌年6月からの住民税で控除されます。銀行口座にまとまった金額が振り込まれるわけではないので、「戻ってこない」と誤解しないでください。年末調整との関係はふるさと納税と年末調整の関係で整理しています。

会社に知られるのかという疑問

結論、会社への報告や申請は一切不要です。ふるさと納税をしたことで勤務先に手続きの手間が発生することもありません。

ただし、まったく分からないかというとそうではありません。会社は毎年5〜6月に自治体から「住民税決定通知書」を受け取り、これを従業員に配ります。この通知書には寄附金税額控除の額が記載されているため、経理担当者が細かく見れば寄付をしたことは把握できます。とはいえ、ふるさと納税は制度として想定された使い方で、会社に不利益が生じるものでもありません。人事評価や給与に影響する性質の情報ではないので、気にしなくて大丈夫です。

気にすべきなのはむしろ副業がある場合です。副業の所得を確定申告すると住民税額が上がり、通知書の金額から気づかれる可能性があります。これはふるさと納税とは別の話なので、混同しないようにしてください。

転職や退職があった年の注意

転職や退職があった年は、限度額の前提が崩れます。ここだけは確認しておきましょう。

年の途中で転職して空白期間があった年、賞与の支給時期の関係で年収が下がった年は、前年の源泉徴収票をもとにしたシミュレーションが過大になりがちです。今年の年収見込みを自分で計算し直すか、寄付を秋以降にずらして直近の給与明細から見積もると安全です。逆に転職で年収が上がった年は限度額も増えますが、確定するのは12月の給与が出てからなので、こちらも慎重に見ます。

年内に転職した場合は、前職の源泉徴収票を新しい勤務先に提出すれば年末調整が受けられます。この場合は確定申告が不要なので、ワンストップ特例を使えます。一方、年末時点でどこにも勤めていない、あるいは12月中の入社で前職分を合算した年末調整が間に合わなかった場合は自分で確定申告することになり、そのタイミングでふるさと納税分もまとめて申告します。

年の途中で退職して再就職していない年は、給与収入が少ない分だけ課税される所得も小さくなります。控除できる枠が縮むため、退職金があっても限度額が大きく増えるとは限りません。この年は寄付額を抑えるか、見送るという判断も十分ありです。

まとめ|源泉徴収票を用意するところから始める

会社員がふるさと納税を始めるとき、最初にやるのは返礼品を探すことではなく、源泉徴収票を引っ張り出すことです。そこから限度額の目安を出し、名義に気をつけて寄付し、5自治体以内ならワンストップ特例、他の控除があるなら確定申告を選ぶ。この順番を守れば迷うところはほとんどありません。

年末は駆け込みで混み合い、人気の返礼品から品切れしていきます。12月31日の決済完了と、翌年1月10日必着の申請書という2つの締切から逆算して、余裕のある時期に動くのがいちばん確実です。僕は10月から11月にかけて限度額の8割まで寄付を済ませ、12月は微調整だけにしています。

会社員1年目でもふるさと納税はできますか?

できます。ただし1年目は働いた月数の分しか収入がなく、住民税も前年分がないため、限度額はかなり小さくなります。目安のシミュレーターに「今年の見込み年収」を入れて確認し、無理のない額にとどめてください。

ワンストップの申請書を出し忘れました。もう控除は受けられませんか?

1月10日必着に間に合わなかった場合でも、確定申告をすれば控除を受けられます。給与所得者の還付申告は対象年の翌年1月1日から5年間できるため、期限を過ぎてから気づいた過去分も申告可能です。

控除された分はいつ、どこで確認できますか?

5〜6月に会社から配られる住民税決定通知書の「寄附金税額控除」の欄で確認できます。確定申告をした場合は、所得税の還付額が申告後およそ1〜2か月で指定口座に振り込まれます。

制度の細かな取り扱いや申請方法は自治体ごとに異なる部分があり、期限や様式も変わることがあります。実際に寄付する前に、寄付先の自治体または利用するポータルサイトの案内で最新の内容をご確認ください。

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