ふるさと納税の確定申告を忘れた|あとから取り戻す還付申告のやり方

確定申告書と期限を丸で囲んだカレンダー

結論から言います。ふるさと納税の確定申告を忘れても、5年以内なら「還付申告」であとから取り戻せます。慌てて税務署に駆け込む必要はありませんし、ペナルティもありません。この記事では、申告を忘れると具体的に何が起きるのか、いつまでに何をすれば控除を受けられるのか、還付金がいつ振り込まれるのかを順番に整理します。

目次

申告を忘れると控除されない

最初に、いちばん大事な前提を確認しておきます。ふるさと納税は、寄付をしただけでは税金が安くなりません。寄付した金額を税務署か自治体に伝える手続きをして、はじめて所得税と住民税から差し引かれます。その手続きが確定申告か、ワンストップ特例のどちらかです。

つまり申告を忘れた状態は「控除ゼロ」ということです。3万円寄付していたなら、3万円がまるごと自己負担で、返礼品だけが手元に残っている状態になります。

ここで誤解しやすいのが「申告を忘れた=法律違反」ではない、という点です。ふるさと納税の寄付金控除は、納めすぎた税金を返してもらうための申告なので、期限までに出さなかったからといって延滞税や加算税がかかることはありません。国税庁も、還付を受けるための申告は確定申告期間より前でも後でも受け付けると案内しています。損をしているのは自分だけ、という話です。

申告忘れにペナルティはない。ただし黙っていても誰も控除してくれない。

忘れたときに何が起きるか

「控除されない」と言われてもピンと来にくいので、実際にどこに影響が出るかを分けて見ておきます。ふるさと納税の控除は所得税と住民税の2か所に効くので、忘れたときの損も2か所に出ます。

住民税は軽くならないまま

ふるさと納税の控除額のうち、金額として大きいのは住民税側です。翌年6月から始まる住民税が、寄付額に応じて安くなるはずだったのに、申告をしていないと普通の金額のまま引かれ続けます。会社員なら毎月の給与から天引きされる額が変わらない、という形で表れます。

気づくきっかけとして分かりやすいのが、6月ごろに配られる住民税決定通知書です。摘要欄や税額控除額の欄に寄付金分が反映されていれば手続きは成功していますし、何も載っていなければ控除されていません。僕は毎年この通知書を見るまで安心しないことにしていて、ここだけは必ず確認しています。

自己負担のまま寄付だけが残る

所得税側も同じで、本来なら寄付額から2,000円を引いた分に税率をかけた金額が還付されるはずが、1円も戻ってきません。ふるさと納税は「自己負担2,000円で返礼品がもらえる制度」と説明されますが、それは申告を済ませた場合の話です。手続きを飛ばすと、実質的には返礼品つきの寄付になります。

返礼品の還元率はおおむね寄付額の3割が上限と定められています。5万円寄付して1万5,000円相当の品を受け取り、控除がゼロなら、差し引き3万5,000円の持ち出しです。これは取り返す価値が十分にある金額です。

あとから申告できる|還付申告という手続き

本題です。申告を忘れた人が使うのが「還付申告」です。名前は違いますが、やることは確定申告とほぼ同じで、提出するのも同じ確定申告書です。給与から源泉徴収されている所得税を返してもらうための申告、という位置づけになります。

5年前まで遡れる

国税庁の案内では、還付申告書は寄付をした年の翌年1月1日から5年間提出できます。2025年(令和7年)中に寄付をしたなら、2026年1月1日から2030年12月31日までが提出できる期間です。過去5年分の寄付をまとめて取り戻せるということでもあるので、思い当たる年が複数ある人は、年ごとに1通ずつ申告書を作れば大丈夫です。

注意したいのは、年をまたいで合算はできない点です。2024年の寄付は2024年分の申告書、2025年の寄付は2025年分の申告書と、寄付した年ごとに分けて作成します。源泉徴収票もその年のものが必要になります。

もうひとつ、すでに確定申告を出していて、そこにふるさと納税だけ書き忘れたというケースがあります。この場合は還付申告ではなく「更正の請求」という別の手続きになります。こちらも法定申告期限から5年以内が期限です。書類の名前が違うだけで、取り戻せることに変わりはありません。

確定申告の期間とは別に受け付けられる

確定申告といえば2月16日から3月15日というイメージですが、あれは納める税金がある人の期限です。還付申告は年明けから受け付けてもらえますし、期間が過ぎたあとでも提出できます。

実務的には、混雑を避けて1月中や、逆に3月中旬を過ぎてから出すほうが処理が早いこともあります。窓口の待ち時間を考えなくていいので、e-Taxで自宅から送ってしまうのがいちばん楽です。

今が8月でも、去年の分・一昨年の分の還付申告は今日から出せます。

ふるさと納税の寄附金受領証明書の書類

還付申告のやり方

手順そのものは通常の確定申告と同じです。国税庁の確定申告書等作成コーナーで、申告する年分を選んで作成していきます。

STEP
寄付の記録を集める

寄付した自治体からの寄附金受領証明書、またはポータルサイトが発行する「寄附金控除に関する証明書」を用意します。楽天ふるさと納税やふるさとチョイスなどの特定事業者なら、マイページから年ごとにまとめてダウンロードできます。

STEP
源泉徴収票を出す

申告する年分の源泉徴収票を手元に置きます。会社員なら勤務先から12月か1月に配られたものです。紛失した場合は勤務先に再発行を依頼します。

STEP
作成コーナーで年分を選ぶ

国税庁の確定申告書等作成コーナーを開き、過去の年分を選択します。トップページから「過去の年分の申告書等の作成」に進むと、前年より前の年分の画面に入れます。

STEP
寄附金控除を入力する

給与所得を入力したあと、所得控除の「寄附金控除」に寄付先・寄付額を入力します。証明書のXMLファイルがあれば読み込むだけで自動入力されます。

STEP
還付口座を登録して送信

還付金の振込先口座を登録し、マイナンバーを入力して送信します。e-Taxならそのまま完了、書面なら印刷して所轄の税務署へ郵送します。

入力そのものは15分ほどで終わります。正直、面倒なのは書類集めのほうです。特に複数のポータルサイトを使い分けていた年は、それぞれのマイページを開いて証明書を集める作業が地味に時間を取ります。

画面の細かい入力手順はふるさと納税の確定申告のやり方で実際の画面つきに解説しています。還付申告でも入力画面は同じなので、そちらを見ながら進めてください。

必要な書類がそろわないとき

数年前の寄付だと、受領証明書が見つからないことがよくあります。これは再発行で解決できます。方法は大きく2つです。

ひとつは、寄付先の自治体に直接連絡して寄附金受領証明書を再発行してもらう方法。自治体によって窓口や所要日数が異なり、郵送で1〜2週間かかることもあります。もうひとつは、利用したポータルサイトで「寄附金控除に関する証明書」を発行する方法です。こちらは特定事業者として国税庁に認められたポータルが年間の寄付をまとめて1枚で証明してくれるもので、自治体ごとの証明書を集める必要がなくなります。ダウンロードなら即日で手に入るので、僕は迷わずこちらを使っています。

ただし、複数のポータルを併用していた年は、ポータルごとに証明書を出さないと寄付が漏れます。ここは必ず全部そろえてください。

証明書が1枚欠けると、その自治体分の控除だけ丸ごと計算から抜け落ちます。

書類の種類ごとの入手先と再発行の流れはふるさと納税の確定申告に必要な書類にまとめています。

ワンストップを出し忘れていた場合

「確定申告はもともとするつもりがなかった。ワンストップ特例の申請書を出し忘れた」というパターンも多いはずです。結論は同じで、確定申告(還付申告)をすれば控除を受けられます。

ワンストップ特例の申請書は、寄付した翌年の1月10日必着です。この日を過ぎたら申請書を送っても受け付けてもらえません。逆に言えば、1月10日を過ぎた時点で残る道は確定申告一本になります。年明けに「間に合わなかった」と気づいた人は、そのまま還付申告に切り替えてください。

ワンストップと確定申告の関係で間違えやすい点

一部の自治体だけワンストップを出していて、あとから確定申告をすると、出していたワンストップはすべて無効になります。

確定申告書には、その年に寄付したすべての自治体分を記入してください。書き漏らした自治体の分は控除されません。

なお、ワンストップは全額が住民税から控除される仕組みで、確定申告は所得税の還付と住民税の控除に分かれます。受け取り方が違うだけで、控除される合計額は基本的に同じです。「ワンストップを逃したから損」ということはありません。

ワンストップでつまずきやすいポイントはワンストップ特例の落とし穴で整理しています。今年の寄付で同じ失敗を繰り返さないために、年内に一度目を通しておくと安心して年末の寄付に進めます。

電子申告の入力画面を表示したノートパソコン

いつ戻ってくるのか

還付金の振込時期は、提出方法で変わります。国税庁の案内では、e-Taxで提出した場合はおおむね3週間程度、書面で提出した場合は1か月から1か月半程度が目安です。確定申告期間の繁忙期はもう少しかかることもあります。

提出方法還付までの目安
e-Tax(電子申告)約3週間
書面(郵送・持参)1か月〜1か月半
更正の請求1〜3か月程度

更正の請求だけ長めなのは、税務署が内容を審査したうえで「更正通知書」を出す手続きだからです。急ぐ理由がないなら気長に待ちましょう。

住民税のほうは、還付ではなく翌年度の税額から差し引かれる形になります。年明けに還付申告をすれば、その年の6月から始まる住民税に反映されます。ただし過去年分をさかのぼって申告した場合、すでに納め終わった年度の住民税は自治体側で再計算され、納めすぎた分が還付されるか、翌年度分から調整されます。処理の仕方は自治体によって異なるので、通知が届いたら中身を確認してください。

戻ってきたお金の使い道まで決めておくと、手続きの腰が上がります。僕の場合、還付金は旅行の積み立てに回すと決めていて、これがあるおかげで面倒な書類集めも「旅費を回収する作業」に見えてきます。

まとめ|5年以内なら取り戻せる

ふるさと納税の確定申告を忘れても、寄付の翌年から5年以内なら還付申告で控除を受けられます。ペナルティはなく、必要なのは寄附金受領証明書か寄附金控除に関する証明書、その年の源泉徴収票、マイナンバー、還付を受ける口座だけです。すでに申告済みで書き忘れただけなら更正の請求で対応します。

やることは、①証明書を集める、②年分ごとに申告書を作る、③e-Taxで送る、の3つだけです。1年分あたり30分もあれば終わります。5年分を放置していた人ほど戻る金額は大きくなるので、思い当たる年があるなら今週末にでも手をつけてしまいましょう。

そして今年の分です。年内に寄付を予定しているなら、ワンストップの申請書は寄付のたびにその場で出す、5自治体を超えそうなら最初から確定申告に決めておく。この2つを決めておけば、来年の1月に慌てずに済みます。

確定申告を忘れたことで、追徴課税やペナルティを受けますか?

受けません。ふるさと納税の寄付金控除は納めすぎた税金を返してもらうための申告なので、期限後に提出しても延滞税などはかかりません。ただし控除を受けられない期間が続くだけ損をします。

5年前の寄付でも本当に申告できますか?

できます。還付申告は寄付をした年の翌年1月1日から5年間提出できます。年ごとに申告書を分けて作成し、その年の源泉徴収票と寄付の証明書を用意してください。

住民税だけでも控除してもらえますか?

お住まいの市区町村に住民税の申告をすれば、住民税分の控除を受けられる場合があります。ただし所得税の還付は受けられないため、基本的には税務署への還付申告のほうが有利です。

控除されたかどうかはどこで確認できますか?

6月ごろに届く住民税決定通知書の税額控除額や摘要欄を見ると、寄付金分が反映されているか分かります。所得税分は還付金の振込通知で確認できます。

本記事は2026年8月時点の国税庁・総務省の公表内容をもとに書いています。控除される金額は年収や家族構成、他の控除の有無によって変わるため、自分の金額を知りたい場合は各ポータルの限度額シミュレーターや国税庁の確定申告書等作成コーナーで試算し、判断に迷う点はお住まいの自治体や所轄の税務署にご確認ください。

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