ふるさと納税でよく聞く「5自治体まで」は、寄付できる上限のことではありません。確定申告なしで控除を受けられるワンストップ特例が使える、寄付先の数の上限です。この記事では、数えるときに間違いやすいポイントと、6自治体以上になってしまったときにどう手続きを切り替えるかを整理します。結論から言えば、超えても損はしません。やることが確定申告に変わるだけです。
ワンストップが使えるのは5自治体まで
ワンストップ特例制度は、確定申告をしなくてもふるさと納税の控除を受けられる仕組みです。寄付先の自治体に申請書を出すと、自治体から住んでいる市区町村へ情報が伝わり、翌年度の住民税から控除されます。この制度を使うには条件があり、そのひとつが1年間の寄付先が5自治体以内であることです。
もうひとつの条件として、もともと確定申告をする必要がない給与所得者であることが求められます。医療費控除や住宅ローン控除の初年度、副業所得が20万円を超えるといった理由で確定申告をする人は、自治体数に関係なくワンストップ特例を使えません。ここは意外と見落とされがちで、僕も住宅ローン控除の初年度に「申請書を出したのに意味がなかった」という話を身近で聞きました。
5自治体という上限は、寄付できる数の制限ではなく、あくまで手続きを簡略化できる範囲の制限です。10自治体でも20自治体でも寄付そのものは自由にできます。
5自治体を超えても控除額は減りません。手続きが確定申告に変わるだけです。

数えるのは自治体の数|寄付の回数ではない
ここが一番の勘違いポイントです。数えるのは寄付した自治体の数であって、寄付の回数でも、返礼品の数でもありません。1年間(1月1日〜12月31日の寄付分)に寄付した先が何種類の自治体かで判定します。
たとえば次のような寄付をしたとします。
| 寄付先 | 寄付回数 | カウント |
|---|---|---|
| 北海道A町 | 3回 | 1 |
| 山形県B市 | 2回 | 1 |
| 宮崎県C町 | 1回 | 1 |
| 合計 | 6回 | 3自治体 |
寄付は6回していますが、自治体数は3です。まだ2自治体の余裕があります。返礼品が6個届いていると「もう6件になった」と焦りがちですが、判定に使うのは表の右端の数字だけです。
同じ自治体に何回寄付しても1つ
気に入った町のお米を年3回に分けて頼んでも、カウントは1のままです。むしろ自治体数を抑えたいなら、リピートは有効な手段になります。僕の場合は、定番の米と肉を同じ自治体でまとめて、残りの枠で新しい町を試す組み立てにしています。これなら年間の寄付額を増やしても、自治体数が5を超えにくくなります。
なお、市町村と都道府県は別の自治体です。同じ県内でも「◯◯県」への寄付と「◯◯県△△市」への寄付は2自治体として数えます。県への寄付は数としては少数派ですが、災害支援などで寄付したことがある人は確認しておきましょう。
申請書は寄付ごとに提出する
カウントは自治体単位でも、申請書の提出は寄付1件ごとです。同じA町に3回寄付したなら、A町へ申請書を3通出します。1通で3回分をまとめることは原則できません。ここを取り違えると、控除される金額が寄付1件分だけになってしまいます。
提出期限は、寄付した年の翌年1月10日必着です。年末ぎりぎりに寄付すると申請書の到着が期限に間に合わないことがあるので、12月の寄付ほど早めに動くほうが安全です。マイナンバーカードを使ったオンライン申請に対応している自治体なら、スマホのアプリだけで完結し、紙の申請書も本人確認書類のコピーも不要になります。正直、封筒と切手を用意する手間がなくなったのは大きく、僕は対応自治体では迷わずオンラインを選んでいます。
申請書を出したあとに引っ越しや結婚で住所・氏名が変わったら、翌年1月10日までに変更届出書を出す必要があります。
6自治体以上になった場合
6自治体以上に寄付すると、その年の寄付についてはワンストップ特例が使えません。ここで重要なのは、それまでに提出したワンストップ申請がすべて無効になるという点です。「5自治体分だけワンストップで処理して、6件目だけ確定申告する」という併用はできません。
無効になるという言葉は強く聞こえますが、罰則があるわけでも、寄付が無駄になるわけでもありません。控除の手続きが確定申告一本に切り替わるだけです。
放置すると控除されません
ワンストップ申請を出したまま何もしないでいると、5自治体を超えた時点で申請は効力を失い、そのままでは控除が受けられません。6自治体目に寄付したら、確定申告をする前提で1年分の寄付を管理し直してください。
なお、6自治体以上になった場合でも、寄付先の自治体に「申請を取り下げます」と連絡する必要は基本的にありません。確定申告をすれば、そちらの内容が優先して処理されます。
気づかないうちに超えているケース
5自治体ルールで実際につまずくのは、ルールを知らなかった人よりも「数えたつもりで数え漏れていた」人です。よくあるパターンは2つあります。
サイトを分けて申し込んだ
楽天ふるさと納税で3自治体、キャンペーンにつられて別のポータルで2自治体、さらに会社の福利厚生サイト経由で1自治体――これで合計6自治体です。ポータルごとの「寄付履歴」ページはそのサイト内の寄付しか表示しないので、各サイトでは3件・2件・1件に見えてしまい、超過に気づきません。
ポイント還元を狙って複数サイトを使い分ける人ほど、この落とし穴にはまりやすいところがあります。サイトをまたぐなら、寄付の合計は自分の手元で管理するしかありません。
家族の分と混同した
ふるさと納税は、寄付した本人の名義で控除されます。5自治体のカウントも、世帯単位ではなく寄付者ひとりごとです。夫が5自治体、妻が5自治体なら、それぞれがワンストップ特例を使えます。
問題は、家族のカードで自分の名義の寄付をしたり、逆に家族名義で申し込んだつもりが自分の名義になっていたりする場合です。名義と支払い者がずれると、控除を受けられる人がはっきりしなくなります。申込者名義と、クレジットカードの名義を一致させておくのが基本です。
申込者と異なる名義のカードで決済すると、自治体によっては寄付が受け付けられず、キャンセル扱いになることがあります。

超えたときの対処|確定申告に切り替える
6自治体以上になったら、翌年の確定申告で寄付金控除を申告します。手順そのものは難しくありません。
寄付した自治体から届く証明書を、寄付1件ごとにすべて集めます。紛失した場合は自治体に再発行を依頼します。ポータルによっては年間の寄付をまとめた「寄附金控除に関する証明書」を電子データで発行でき、これがあれば1枚で済みます。
国税庁の確定申告書等作成コーナーで、源泉徴収票の内容を入力し、寄付金控除の欄に自治体ごとの寄付額を入力します。電子データの証明書はxmlファイルのまま読み込めます。
e-Taxか郵送で提出します。所得税分はその年の還付として戻り、住民税分は翌年6月からの住民税が減る形で反映されます。
ワンストップ特例では控除の全額が住民税から引かれますが、確定申告では所得税の還付と住民税の減額に分かれます。受け取り方が違うだけで、自己負担2,000円を除いた控除の合計額は原則として変わりません。手続きの詳しい進め方はふるさと納税の確定申告ガイドにまとめています。
年内なら寄付先を調整できる
5自治体のカウントは、その年の1月1日から12月31日までの寄付が対象です。逆に言えば、12月31日までなら寄付先の組み立てを変えて5自治体以内に収められます。
すでに4自治体に寄付していて、限度額にまだ余裕がある。そんなときは新しい町を1つ足すのではなく、これまでに寄付した4自治体のどれかに追加で寄付すれば、カウントは増えません。返礼品の選択肢は狭まりますが、確定申告を避けたい人にとっては素直な選択です。
僕の場合、年末に限度額が余っていると気づいたときは、まず「すでに寄付した自治体に良い返礼品がないか」を先に見ます。それでも欲しいものがなければ、確定申告を前提に新しい自治体へ寄付します。どちらが正解ということはなく、確定申告の手間をどう見るかの判断です。年末の駆け込みで気をつける点は12月の駆け込みふるさと納税の注意点で解説しています。
なお、寄付日の判定はクレジットカード決済なら決済が完了した日です。銀行振込やコンビニ払いは入金日が基準になるため、12月末は入金のタイミングで年をまたぐことがあります。
数え方を間違えないための管理
自治体数の管理は、凝った方法よりも「1か所にまとめる」ことが効きます。僕はスプレッドシートに寄付日・自治体名・金額・利用サイト・申請方法(オンラインか郵送か)・申請済みかどうかを1行ずつ記録しています。列は6つで十分で、自治体名の重複を除けば現在のカウントがすぐ分かります。
年末に確認しておきたいのは次の3点です。
- 寄付先の自治体名を重複なしで数えて5以内か
- 寄付1件ごとに申請書を出し終えているか
- 医療費控除など、確定申告をする予定が別にないか
オンライン申請なら申請の完了通知がアプリやメールに残るので、記録としてもさかのぼりやすくなります。郵送の場合は、投函した日をメモしておくと、自治体から受付通知が届かないときに問い合わせやすくなります。ワンストップ特例の申請手順そのものはワンストップ特例の申請ガイドで画面つきで説明しています。
まとめ|自治体の数を数えて5を超えたら確定申告
5自治体ルールは、寄付の回数ではなく寄付先の自治体の数で判定します。同じ自治体へのリピートは何回でも1カウント、ただし申請書は寄付ごとに必要です。6自治体以上になると、それまでのワンストップ申請は無効になり、確定申告に一本化されます。控除される金額そのものは原則として変わらないので、超えたと分かった時点で慌てず、受領証明書をそろえて申告に切り替えれば済みます。
年内であれば寄付先を調整して5自治体以内に収める選択もできます。12月31日を過ぎると調整はできなくなるため、11月ごろに一度、自分の寄付先を数え直しておくと年末が楽になります。
制度の内容は2026年8月時点のものです。申請期限の細かい取り扱いやオンライン申請の対応状況は自治体ごとに違いがあるため、寄付先の自治体からの案内で確認してください。
